「相変わらず空をいじめるのが好きだな、お前ら」

腕を組みながら、呆れた顔で襲われる私を見下ろす『友達』の孝太くん。
私を助けずに、『やれやれ』と呟く孝太くん。

ってか見ていないで助けて!

「こ、孝太くん!助けて!」

「無理だあきらめろ。構ってもらえるだけ、幸せだと思え」

「そんな!きゃははは!もう!」

『孝太くんの相手をしているだけ時間の無駄だった』と思った私は自力で理不尽に攻撃してくる敵を振り払った。
もちろん全力で。

そして適度に暴れたら、今回はみんな私から離れてくれた。
同時に私への攻撃も収まり、私もくすぐりから解放される。

私は一息つく。

・・・・・・・・。

ってそんなことより。

「ねえ、どうして?みんな、帰ったはずじゃ・・・・・」

私の言葉に、海ちゃんは首を傾げて答える。

「どうしてって、そりゃねえ千尋さん」

「うん。空が『今日が何の日』かずっと忘れたままらしいし。将大さんに聞いたら、『空にとては最悪の日』って聞くし」

最悪の日?

今日何かあったっけ?

ってか今日はクリスマスだったような?

・・・・・・。

そんなことを考えていたら千尋さんに背中を押された。

「とりあえず、座りなさい!今日は空が主人公なんだら」

「主人公?・・・・え?」

主役とかじゃなくて主人公?

ってか、なんですかそれ?

全然付いていけないんですけど・・・・・。

そうやって混乱した私は、強引な形で椅子に座らされた。
千尋さんに、元々座っていた席に私は戻される。

ちなみに、ふと目に入った時計は、午後十一時四十七分を表していた。

あと十五分ほどで、日付が変わる。

十二月二十五日が終わる。

・・・・・・。