「はい、誠也が飼っているハムスター捕まえた。ってか誠也、もうすぐ今日が終わっちゃうよ?」

その私の大好きな声に、誠也さんはすぐに時計を確認。

「あー、もうそんな時間か。危ない危ない。真奈美!」

そしてそう言って、誠也さんは真奈美さんのいるキッチンへと入っていった。
っと言うか誠也さんの言う『時間』ってなんだろうか?

・・・・・・・。

ってそんなことより、私に抱き付いてくるこの人をなんとかしないと。
私が握っていた指輪が入ったケースも抱きつく千尋さんに奪われているし・・・・。

って、どうして千尋さんがここに?

「千尋さん?ってかハムスターって言わないでください!あと離してください」

「うるさいな。空はハムスターじゃんか。その証拠にこの首輪も付けているわけだし」

そう言って千尋さんは私の首に付いた『ネ・ッ・ク・レ・ス』を触ってきた。
全然首輪じゃないし!

ってか、こいつらだけは絶対に許さない!

「もう!千尋さんのばか!」

「誰がばかよ!頭にくんな、このばか空は!またくすぐってやる」

く・・くすぐる・・・・?

「い、いや!それだけは絶対に嫌!・・・・きゃはは!」

嫌がる私を、本当に千尋さんはくすぐってきた。
私も必死に抵抗するけど千尋さんの力には敵わないし、全然歯が立たない。

・・・・・・・・・。

こうなった以上、私はもう千尋さんのくすぐりに耐えるしかなかった。
逃げることは許されないから、千尋さんの頭のおかしい言葉を聞くしかなかった。

ってかこの人、やっぱり頭おかしい。
私を何だと思い、自分を何様だと思っているのだろう?

「このやろう!偉大な千尋様に逆らいやがって!千尋様に二度と逆らえない様に教育してやる!」

偉大って何が偉大ですか?

千尋さんってどれだけ偉いのですか?

そう反論すれば物事は更に楽しくなるだろうけど、今の私には余裕なんてない。
悲鳴を上げる事で精一杯・・・・・。

「や、やめてください!もう!あははは!」

私は再度必死に抵抗するも、やっぱり千尋さんの力には及ばない。
後ろから抱きつくように、がっちりと私が逃げないように抑えて、私にくすぐり攻撃を仕掛けてくる。

ってか本当にもう勘弁してください。
くすぐられるのはもう嫌なんです・・・・・。

そういえばこの光景は二回目だっけ。
踊りの練習直前も、こんな事をしていたっけ。

ってか私があんなに嫌がっていたのに、またくすぐり攻撃をしてくるんだ。
あの時の私、『瀕死状態』まで追い込まれたって言うのに。

・・・・・・。

そして今回も簡単には終わりそうになさそうだ。

同時に最近は本当に『敵ばかり』だと、いつも思わされる。