「ごめんね空ちゃん、俺、本気なんだ。今まで行ってきた冗談、本当は全部告白のメッセージなんだ。・・・・・まあ、空ちゃんは全然相手にしてくれなかったけど」

・・・・え?

「その証拠にこの婚約指輪。本気で空ちゃんを迎えたいと思って、買っちゃった」 

買っちゃったって指輪を?

ってか婚約指輪?

本気で私を迎えたい?

・・・・・・はい?

「せ、誠也さん・・・・・」

女の人って、好きな男の人から指輪を渡されたら、どんな反応をしたらいいのだろうか。
どんな言葉を返したらいいのだろうか。

お母さんはお父さんに指輪を渡された時、どんな言葉を返したのだろうか。

・・・・・・・・・・。

だけど、私にはまだ早いよ誠也さん・・・・・。

「でも私、まだ高校生っていうか・・・・・・」

「あはは!そうだね」

誠也さんは笑うと、下になる私の体を起こしてくれる。

そしてまた、私に優しい言葉を掛けてくれる。

「じゃあ、俺はいつまで待つよ。空ちゃんが俺の元にきてくる日を願ってね。だからこの指輪は一旦没収。空ちゃんの『心の準備』が出来たら、いつでも来て欲しい。いつでも取りに来て欲しい。今から千尋と活動していくし、毎日が忙しくなってそれどころじゃなくなると思うしね」

誠也さんは、私に見せた指輪を上着のポケットにしまった。
倒れた椅子も直して、椅子に再び座ろうとする誠也さん。

今日はその話は終わりとでも言うような誠也さん。

・・・・・・・。

でも、これで終わってもいいのだろうか。
誠也さんのように、私も今までの想いを伝える絶好のチャンスじゃないだろうか?

また新しく、自分を変える瞬間が今じゃないだろうか?

・・・・・・・・。

だったらこのチャンスを掴まないと。

自分が変われるなら何でもチャレンジしてみないと。

私、今を変えたいんだし!

だから・・・・。

「ま、待ってください!」

「どうしたの?」

頑張れ私。

勇気を出して、私も想いを伝えなきゃ。

「その、今じゃダメですか?指輪・・・・」

「それはつまりどう言う事?空ちゃんの言葉が聞きたいな」

誠也さんには嘘をつきたくない。
隠し事もしたくない。

思っていることがあればすぐに伝えたい。

だから・・・・・。