「やっと捕まえたよ空ちゃん。ほんと、どこに行っていたのさ。勝手にいなくなったらダメだろ？」

その言葉を聞いて、私は無意識に抵抗をやめていた。
理由は知らない・・・・・。

誠也さんは私に説教を続ける。

「それに前に言ったよね？『俺なんかは頼りない？』って。そうしたら空ちゃん、『そんなことはない』って否定したよね」

・・・・・・・・・。

「じゃあもう一度聞くけど、俺は空ちゃんから見て頼りない男？俺は空ちゃんが大好きな将大さんの代わりになれる？答えて」

・・・・・・・・・。

答えは昔から決まっている。

「・・・・・誠也さんは、誠也さんです。だからその・・・・・」

でも言葉がうまく出てこない。
どうしても口にしようとすると言葉に詰まる。

だけど今、誠也さんに伝えたいことはある。
伝えたいことがあるから、私は必死に言葉を組み立てる。

「誠也さんはそのままでいて欲しいです。今のままの誠也さんでいて欲しいって言うか、なんて言うか・・・・・・・」

「どうして？」

「どうしてって・・・・それは・・・・・」

・・・・・・・・。

黙っていたら、想いは伝わらない。
伝えたいことはちゃんと伝えないと。

じゃないと私、ずっと後悔してしまう。

本当はもっと生きていたかった、あの時のように。

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