「せ、誠也さん!もう・・・・」

肩を落として話についていけない私の姿を見て、誠也さんは笑う。

「あははは。やっぱり空ちゃんをからかうのは楽しいな」

からかう?
やっぱりそうきたか!

絶対に許さない!

「ばか誠也さん!もう!さっきの話もなしです」

「それは許さないよ。空ちゃんはもう俺のものだからさ。ってかハムスターに『拒否権』があると思っているの?ペットショップのハムスターが、『この人に飼われるのは嫌です!』って訴えれると思うの?」

ふざけやがって!

「絶対に許さない!ばか誠也さん!くたばれ!」

私は席を立ち上がり、拳を作って誠也さんの元に駆け寄った。
そしてそのムカつく顔を殴ってやろうと心に決めて、『性悪悪魔の田中誠也』に攻撃しに行くけど・・・・・。

拳を作って殴っても、この男には効かない。
全部片手で受け止めてくるし。

不気味な笑みを見せて、笑っているし。
本当にムカつくし。

でも!

「あはは。そんな攻撃全然痛くな・・・ってうわあ!」

「きゃあ!」

誠也に拳と私の体重を使って攻撃していたら、私の重力か『威圧感』で誠也さんが座る椅子が後ろに倒れた。

誠也さんはダメージを負い、攻撃していた私も巻き添いになったけど、誠也さんに大ダメージを食らわせることが出来たから全然気にしない。

何より一緒に倒れる私の体重が全部乗ったから、これなら誠也さんに痛い思いをさせれたはず。
誠也さんが下敷きになったから、私はそんなに痛くなかったし。

・・・・・・・・。

よし!

「ざまあみろ!私に逆らうとこうなるんです!ばーか!」

後で怒られてもいい。
また攻撃されてもいい。

でも『誠也さんを追い詰める瞬間』は今しかないと思った。
今までされたことを少しでも『この瞬間』に返せればいいと思った。

だからひどい言葉も使うし、また殴ってやろうかと思ったけど・・・。

聞こえる悪魔のような誠也さんの囁き。

「ほんと、詰めが甘いよね。この可愛いハムスターちゃんは。自ら俺の元までやってくるなんて」

「きゃあ!」

いつの間にか立場は逆転。
私が誠也さんにまたがって上になっていたはずなのに、私が下になって誠也さんは私を覆いかぶさるような形になっていた。

もちろん私も必死になって逃げようとしたり抵抗したりするけど・・・・・・。

聞こえる優しい誠也さんの囁き・・・・。