「泣きなよ。無理しなくていい。誰だってそうだから。自分にとって大切な人が亡くなったら、誰だって泣きたいほど辛い。涙も止まらない。将大さんも千尋も、茉尋さんが亡くなってからしばらく悲しんでいたから」

そう言った誠也さんは、私に何度も見せてくれた笑顔を見せてくれる。
お父さんが何度もしてくれたように、泣いている私の頭を撫でてくれる・・・・・・・。

「みんな言うね、『空ちゃんなら立ち直れる』とか。『一緒に頑張ろう』とか。『明日も世界は回っているから、しっかり生きていこう』とか。でも、それでも頑張れない人っているよね。どれだけの人に助けられても、心配されて励まされても、立ち直れない人もいるよね。辛い自分に飲み込まれて、死を選んじゃう人もいるんだよね。明日を絶とうとする人もいるんだよね」

・・・・・。

「でもさ、そんな時は自分が信用している誰かの胸で、『泣き叫ぶ』のが一番いいと俺は思うんだ。『大きな声で泣いてみる』のが一番いいと思うんだ。と言うかそれしかないと思うし。悲しいから涙が出たり、人は泣いたりするのだし。それを堪えるって、すっごく体に毒だと思うしね」

辛い時は泣いてみる。
大きな声で泣いて、辛い自分を吐き出す。

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そういえば私、あの時泣いていたっけ？

「でも・・・・・泣けないほど追い込まれていたら？『死にたい』と思ってしまったら？『助けて』って言えなかったら？」

父さんが亡くなった時、私は涙を見せなかった。

と言うか、泣けなかった。
泣く気力すら残っていなかった。

学校でいじめられて、大好きな武瑠が亡くなって、お父さんも亡くなった。
『人生の辛さの渦』に飲み込まれて、私は『感情』を失っていた。

笑うことも怒ることも悲しむことも、そして泣く事も出来なかった。

だから、『もう生きていても意味ないな』と思ったあの頃の私があるからこその言葉。
私が今誠也さんに一番聞きたい言葉。

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そして帰ってきたのは、とても残酷な誠也さんの言葉。

「そうなったら『死ぬ』しかないよね。逆に『生きる資格なんてない』と思う。『生きていても意味ない』と思うし。『人生二度と楽しめない』と思うし。立ち直れないのは、『自分の生きる実力がない』ってことになるし。そもそも『自殺する』って、自分が決めたんでしょ？だから自分が決めたことはそれを貫き通したらいいと思う。酷い言い方だけど、『死にたかったら死ねばいい』と思う。その子が死んでも、この世界には影響がないんだし。何より自分が一度決めたことを、他人がどうこう言うのは間違っていると思うし」

その言葉を聞いて、胸が痛くなった。
不思議と『死にたい』と思った時の感情が蘇ってきた。

・・・・・・・。

でも、実際そう誠也さんの言う通りだと思った。
その通りだと私は思った。

だって、私はとにかく『死にたかった』から、助けてくれようした海ちゃんや孝太くんの助けを拒んだんだし。

『邪魔するな』って、ずっと捨てられずに持っていたたこ焼きの爪楊枝で、二人の手を指しちゃったわけだし。

『余計なことをするな』って、二人を恨んだし。

正解か間違っているかは置いておいて、私が選んだ道なんだし。

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だけど、やっぱり自殺を試みて後悔したのは事実。

理由は・・・・・・。