真奈美さんのお店の中で、昔について思い出していた私は、過去から目の前の誠也さんに視線を移した。

そして私は誠也さんに問い掛ける。

「その過去がどうしたのですか?」

私の言葉に、誠也さんは明るく答える。

「いや、別になんでもないよ。ちょっと俺がその記憶を思い出したかったから。空ちゃんに手伝ってもらっただけ。ごめんね」

「いえ・・・・」

そう言って、私は下を向いた。

無意識に・・・。

・・・・・・・・。

「緊張しているの?」

誠也さんの言葉に私は慌てて反論する。

「え、そんなことは・・・・」

でも、言葉が出てこない。
事実なぜか緊張しているから、思ったように声も出ない。

そんな私を、誠也さんは言葉で揺さぶってくる。

「嘘つかないで。空ちゃん、ここに来てからずっと変だよ?千尋から『今日の空ちゃんはずっと笑っていた』って。・・・・・なのに、俺の前では笑わないね。それはどうして?どうして空ちゃんは俺の前じゃ笑えないの?」

・・・・・・・・・。

「わかりません・・・・・」

投げやりにも捉えられるが、もちろん私なりに考えた言葉だ。

色んな方向から考えても、私、美柳空という子供を分析した上で考えても、答えは見つからなかった。

というか、分かったら改善しようとして、私も嘘で笑おうとするのに。

その欠点を改善しようと私も自分に嘘をついて、頑張ろうとするのに。

・・・・・。