これが当時の話。
私と誠也さんが仲良くなり、お父さんの距離が縮まった私の『過去』のお話。

『みんな辛いけど頑張っている』というお話。

だから辛いことがあったらこの出来事を思い出して、『みんなも辛いことを抱えているから私も今を頑張ろう』と自分に鞭を入れた。

みんな必死に生きているから、私も必死になってこの『辛いことだらけの世の中』にしがみつこうと思った。

いじめられても、武瑠が亡くなっても、『私は生きている』と何度もこの過去を思い出して自分を立ち上がらせた。

『私なら頑張れる。私ならどんな絶望にも負けない』って、何度も思った。

それに誠也さんや真奈美さん達が支えててくれるから、『私なら出来る』って何度も思った。

海ちゃんや孝太くんがいるから、『どんな辛い未来も私なら乗り越えれる』と私は思っていた。

でも・・・・・・。

・・・・・・・。

お父さんが交通事故で亡くなった日から、私の人生は狂い始めた。
私自身もおかしくなっちゃった。

『もっと生きていたい』から、『早く死にたい』に変わってしまった。

明日なんて、どうでもよくなってしまった。

理由はそのまま。
大好きなお父さんが亡くなったから。

いつも私を助けてくれる、ヒーローが助けてくれなかったから。

同時にその私の支えだった過去も、思い出すのが嫌になってしまった。

理由はお父さんの顔が浮かんで来るから。
お父さんはもういないのに、私の中でお父さんが笑おうとするから。

私を励まそうとするから。

それが私にはとても耐えきれなかった。

もう会えないからこそ、尚更。

だから私は過去の記憶を捨てた。
その記憶を思い出すと、お父さんと過ごした記憶が蘇るから。

私にとっての『特別な日』が、『最悪一日』に変わってしまったから。

もう思い出したくない記憶なのに。

消し去りたいと思った過去なのに・・・・・・・。