そして、『自分も反省しなさい』って。
『お互い謝ることが出来たら、それはきっと幸せな方向に進む』って。

『初めてそこで信頼関係が生まれる』って。
『初めてお互いの本音を話せる時間が出来る』って。

だから・・・・・。

「私もごめんなさい。お父さんに嘘ついてごめんなさい。時計を失くしてしまって、ごめんなさい・・・・・」

何が正解で、何が間違いなのか、私にはわからない。
人生何が正解の道なのか、まだ十二年間しか生きていない私には分かるわけがない。

でも悪いことをしたら、素直に『ごめんなさい』と言わなきゃダメなことは、今ようやく気がついた。

初めて私に頭を下げるお父さんを見て、私は思った。

思ったから、私も素直に謝ったのに・・・・。

・・・・・・・。

なぜだかお父さんは突然笑い出す。

お腹を抱えて大笑いをするお父さん・・・・。

「あははは!やっぱこいつ、茉尋の子だわ!あははは!腹いて!」

そして誠也さんも笑う。

「やっぱ空ちゃんはブレないね。『自分より誰かを想う』その気持ち。ある意味尊敬する」

「え?え?」

意味がわからない。
きょとんと大笑いをする目の前の二人を見つめても、全く現状を理解できない私。

なんで自分が笑われているのか、全然わからない・・・・・・。
そんな私にお父さんは手を差し出す。

「よし、じゃあ帰ろうぜ!今日はみんなでパーティだ!空と誠也も仲直りしたんだろ?」

誠也さんは私を見て微笑む。

「まあそうですね。空ちゃんと一緒に競争するもんね」

「お、何の競争だ?空?言ってみろ」

お父さんの言葉に、私はそっぽを向いて答える。

「言いたくない」

「何だよ、俺には秘密か?可愛くねえな。また肩車してやろうか?」

肩車?
それは絶対に嫌だ!

「いや!もう子供じゃないんだし。恥ずかしいし」

そうだ。
もう小学六年生の私だ。

お父さんに肩車をされている所を同級生に見られたら、恥ずかしくて生きていけない。

そんな私は嫌なのに・・・・・。

誠也さんは、昔から本当に性格が悪い。