「ってかさ、今からちょっと練習してみる?千尋が考えた振り付け」

突然の千尋さんの言葉に私は少し驚く。
「え、でも大丈夫なんですか?その・・・・私、予定が」

予定とは大事な人との待ち合わせのこと。
私もよくわからないけど、『今日だけは絶対に予定を入れないで欲しい』と言われた。

どうしてかは、私にはわからない・・・・・・・。

なのに、この人はずっと私の邪魔をしてくる。

ある意味ずっと今日は千尋さんに振り回されてばっか。

「大丈夫大丈夫!気にしない気にしない!遅刻する奴が悪いから。ってか今日の夜は長くなるだろうし」

「え?」

夜は長くなる?

「早く食べよ!今から近くの練習場、借りれるか相談してみるから。服装は・・・・・、まあそれでいいか」

「?」

首をかしげる事しか出来ない今の私。
千尋さんの話に、何一つついていけない。

私の頭の中は疑問点だらけ。

と言うか『振り付け』ってつまり、『私も今から千尋さん同様に踊ってみる』って言うことなんだろうか。

それに練習って・・・・。

まあでも千尋さんの提案に、『少し楽しみな自分』がいるのも確かだ。
千尋さんと踊ることを想像してみたら、『待ち合わせなんてどうでもいい』と思ってしまう私もいる。

誠也さんには申し訳ないけど。