「最初は『中絶』しようと思ったみたい。お姉ちゃん、高校は行かずに音楽活動ですごく忙しかったし。もうその時には実力を発揮して、仕事として音楽活動をしていたし。空には悪い言い方だけど、空を産んでも育てる時間がなかったし」
「じゃあ、どうして私を産んだのですか?」
千尋さんは答える。
その姿はまるで、私の母である『美柳茉尋』を思い出させてくれるように。
まるで、千尋さんにお母さんの魂が乗り移ったかのように・・・。
「空をいい加減な理由で殺したくなかった。茉尋のお腹から小さな命が生まれる以上、茉尋はこの子と一緒に音楽界の頂点に立ってやる。空と一緒に生きてやる」
そう言った千尋さんは、私を見て小さく笑った。
そしていつもの千尋さんに戻って話してくれる。
「千尋によく言っていた、お姉ちゃんお言葉。何度も聞いた茉尋お姉ちゃんの決意表明。って言うかお姉ちゃん、ほんと凄い人だよ。空が産まれるまでずっと仕事をしていたし、生まれた後もすぐに仕事に戻った。もちろん赤ん坊の空を育てながらね。まだ十八歳だと言うのに、遊ばずに頑張っていた。そしてそこからお姉ちゃんが作った曲が世間に広まったんだ。『天才若手音楽家』なんて言われてさ。お姉ちゃんが作った曲はほぼ全部ヒットした。空を育てながら、十八歳と言う若さで世に様々な音楽を生み出した。本当に『若き天才』と言う言葉がめちゃくちゃ似合っちゃう人」
千尋さんの言う通り、確かにお母さんは凄い人だ。
お母さんの音楽活動での功績は、娘の私も詳しくは知ってる。
だって、『私もお母さんみたいになりたい』と、幼い頃は思っていたし。
お母さんの背中を見て、『私も音楽の仕事がしたい』と思っていたし。
まあ、お母さんが亡くなってからは、一度も思わなくなってしまったけど。
理由は音楽を聴くと、もう存在しないお母さんの姿を思い出すから。
どんなジャンルの音楽でも耳に入ってしまうと、『君のお母さんはもういないよ』と音楽が教えてくれるから。
だから私、実は音楽が嫌いなんだ。
どんな旋律のいい綺麗な音色でも、私からしたらただのノイズ。
私を苦しませるだけの雑音。
・・・・・・。
私に友達がいなかったのも、多分それが原因。
友達と遊ぶために家から出ると、BGMとか嫌いな音楽が街のあちこちから聞こえてくるから。
だから私、ずっと部屋に引きこもって本を読んでいた。
クラスメイトのみんな、音楽が好きだし。
ちなみに私が本や小説が好きな理由は、本からは音楽が流れないから。
本を読むようになったのも、お母さんが亡くなってからだし。
逆にお母さんが側ににいてくれた時は、私もずっと音楽を聴いていたし。
だから、今も音楽は嫌いなんだけど・・・・・・。
・・・・・。
それはただの私の『現実逃避』だと言うことに最近気がついた。
千尋さんが私の前に現れてから、不思議と今のようにお母さんの話をよく聴くし。
なんだかわからないけど、千尋さんと一緒にいるとお母さんを思い出して、不思議と『お母さんの音楽を聴きたい』と思わされることが、最近よくあるし。
なんだかお母さんが私を呼んでいる気もするし。
・・・・・・。
千尋さんは話を続ける。
「じゃあ、どうして私を産んだのですか?」
千尋さんは答える。
その姿はまるで、私の母である『美柳茉尋』を思い出させてくれるように。
まるで、千尋さんにお母さんの魂が乗り移ったかのように・・・。
「空をいい加減な理由で殺したくなかった。茉尋のお腹から小さな命が生まれる以上、茉尋はこの子と一緒に音楽界の頂点に立ってやる。空と一緒に生きてやる」
そう言った千尋さんは、私を見て小さく笑った。
そしていつもの千尋さんに戻って話してくれる。
「千尋によく言っていた、お姉ちゃんお言葉。何度も聞いた茉尋お姉ちゃんの決意表明。って言うかお姉ちゃん、ほんと凄い人だよ。空が産まれるまでずっと仕事をしていたし、生まれた後もすぐに仕事に戻った。もちろん赤ん坊の空を育てながらね。まだ十八歳だと言うのに、遊ばずに頑張っていた。そしてそこからお姉ちゃんが作った曲が世間に広まったんだ。『天才若手音楽家』なんて言われてさ。お姉ちゃんが作った曲はほぼ全部ヒットした。空を育てながら、十八歳と言う若さで世に様々な音楽を生み出した。本当に『若き天才』と言う言葉がめちゃくちゃ似合っちゃう人」
千尋さんの言う通り、確かにお母さんは凄い人だ。
お母さんの音楽活動での功績は、娘の私も詳しくは知ってる。
だって、『私もお母さんみたいになりたい』と、幼い頃は思っていたし。
お母さんの背中を見て、『私も音楽の仕事がしたい』と思っていたし。
まあ、お母さんが亡くなってからは、一度も思わなくなってしまったけど。
理由は音楽を聴くと、もう存在しないお母さんの姿を思い出すから。
どんなジャンルの音楽でも耳に入ってしまうと、『君のお母さんはもういないよ』と音楽が教えてくれるから。
だから私、実は音楽が嫌いなんだ。
どんな旋律のいい綺麗な音色でも、私からしたらただのノイズ。
私を苦しませるだけの雑音。
・・・・・・。
私に友達がいなかったのも、多分それが原因。
友達と遊ぶために家から出ると、BGMとか嫌いな音楽が街のあちこちから聞こえてくるから。
だから私、ずっと部屋に引きこもって本を読んでいた。
クラスメイトのみんな、音楽が好きだし。
ちなみに私が本や小説が好きな理由は、本からは音楽が流れないから。
本を読むようになったのも、お母さんが亡くなってからだし。
逆にお母さんが側ににいてくれた時は、私もずっと音楽を聴いていたし。
だから、今も音楽は嫌いなんだけど・・・・・・。
・・・・・。
それはただの私の『現実逃避』だと言うことに最近気がついた。
千尋さんが私の前に現れてから、不思議と今のようにお母さんの話をよく聴くし。
なんだかわからないけど、千尋さんと一緒にいるとお母さんを思い出して、不思議と『お母さんの音楽を聴きたい』と思わされることが、最近よくあるし。
なんだかお母さんが私を呼んでいる気もするし。
・・・・・・。
千尋さんは話を続ける。