「だからお姉ちゃん、両親のことが嫌いだったんだ。よく家出して、当時仲の良かった友達の家に泊まったりしていた。中学生の時はほとんど家にいなかったし。そしてその時に出会ったのが、将大さんだったって言うわけ。ちなみに『海でナンパ』って言ってけど、正確には真冬の海に一人たたずむお姉ちゃんに声をかけただけなんだ。『こんな真冬に一人で海を見てどうするんだ?風邪引くぞ?』みたいな感じで」

私は苦笑いを浮かべて呟く。

「ナンパじゃないんですね・・・・」

千尋さんも苦笑い。

「ま、まあね。でも将大さん、『俺と茉尋が出会った時の話は、海でナンパした程で話せ』って言われたし。将大さん、変にカッコつけようとするところがあるし」

「確かに・・・・・。お父さんなら言いそうです」

お父さん、お店に自分の好みの女性が来てくれたら態度が変わっちゃう『困ったお父さん』だし。
昔、それでお母さんすっごく怒っていたし。

まあ、お母さんが亡くなってからは一切そう言うのは無くなったけど。
千尋さんは話を戻す。

「そんな二人は一緒に過ごし始めたんだ。しかも将大さん、お姉ちゃんのために親に捨てられたパソコンや、音楽作成に必要な道具も買ってあげてたし。そりゃお姉ちゃん、将大さんに心を許すよね。でも、その後の『二人の人生を大きく左右する出来事』が起こっちゃったんだ。ある意味お姉ちゃんが両親と『絶縁』するキッカケになった、大きな大きな大事件」

「何ですかそれ・・・・?」

大きな大きな大事件と聞かされたから、私は息を飲む。
両親と縁を切るほどの大きな出来事・・・・・。

・・・・・。

その出来事とは、私の存在が出来てしまった事・・・・らしい。

「空、あんたの命がお姉ちゃんのお腹の中で出来てしまったんだ。当時十八歳のお姉ちゃんのお腹の中にね」

「私・・・・ですか?ってか十八歳?」

昔から疑問には思っていた。
『なんで私のお母さんはみんなより若いのだろう?』って。

私のお母さん見た目もすっごく若かったし。

・・・・でも、今謎が解けました。

ってか知らなかった。お母さん、私を十八歳の時に産んでるんだ。
今の私で十六歳なのに・・・・・・。

なんだか複雑な気持ち。