「本が好きです。小説とかよく読みます」

「へぇどんな小説?恋愛系?」

恋愛小説はは読んだことがないです。
読んでもまだ私には理解できないと思うし・・・・・。

「い、いや・・・・・。でも色々と読むって言うか。この前は感動系の話って言うか、何て言うか。ロボットと引きこもりの女の子の話って言うか」

「内容は?」

私はその小説を思い出しながら話す。

「病気で学校に通えない余命の短い女の子がいるのですけど、その女の子にはロボットの発明能力があるんです。だからその女の子、研究所に引きこもって自分でロボットの友達を作ってロボットと仲良く過ごしていました」

誠也さんは興味を持ってくれているのか、二度頷く。

「へぇ。それで?どうなるの?」

「えっと、でもそのロボットも途中で致命的な不具合が見つかってあまり長く起動出来ないんです・・・・。だから余命を宣告された女の子と壊れそうなロボット、どちらが長生き出来るか?ってお話なんだけど・・・・・」

意外なお話に、誠也さんは小さく笑いながら驚く。

「なにそれ?ってか感情のあるロボットってこと?」

「そうなんです。だから余計に情が入っちゃうって言うか」

「中々面白そうだね。で、どっちが先に死んじゃうの?」

私は戸惑った。
ってか結末をネタバラシしていいのかな?

「結末を言っちゃっていいのですか?」

「と言うか聞かせて。俺、推理小説とか最初に犯人を知ってから読みたい人間なんだ。そうすれば犯人の行動がわかりやすいじゃん?」

推理小説は自分の中で犯人を当てるのが面白いのに。
誠也さんは変わった人だ。

「でもそれなら二回読んだ方がいいんじゃないですか?一回目は犯人探して、二回目に犯人の行動に注目した方が?」


「二回も読むのが『時間の無駄』って言うか」

そう言われたら何も言い返せない・・・・。

「そうですか・・・・」

やっぱり私と違って誠也さんは忙しいもんね。
朝から晩までずっと働いているし。

誠也さんは物語の結末が気になるのか、話題を戻してくれる。

「んで、どうなるの?その小説の結末」

少しだけ結末を話すことに抵抗があるが、私は答える。

「えっと、ロボットです。先にロボットが壊れてしまいます」

「ロボットがねぇ。それでその後は?女の子も死んじゃうの?」

「いや、それが・・・・」

誠也さんも小説で結末を知ってほしいと、私は少し躊躇いながら答える。