「空、もう着替えた?」

「あっ、はい!もういけます!」

チロルさんの言葉を返す私。
どうやらカメラは回っていないみたい。

「オッケー。じゃあ合図を出したら出てきてね。ってかちゃんと着れている?」

そう言って千尋さんは勝手に私の試着室のカーテンを開けてきた
。そして千尋さんは、目の前の私の姿を見て微笑む。

「さすが空だね。可愛いからなんでも似合っちゃう」

その言葉に真奈美さんも覗いてくる。

「うん!お兄が空ちゃんのことが好きな理由がわかる!」

・・・・・・・・。

そう言ってもらえると、すごく嬉しいです。
でもなんて言葉を返した良いのかわからないから、私は顔を赤く染めて二人から目を逸らす。

千尋さんが握るカーテンを恥ずかしがる表情で見つめる。

・・・・・・・。

ってか勝手に試着室のカーテンは開けないで!

いい加減にしてください!

やがて千尋さんと真奈美さんは試着室から離れる。

そして撮影がまた始まる。

「それじゃ新メンバーも試着が終えたみたいなんで、早速登場してもらいましょうか。あと先に言います。めちゃくちゃ可愛いです」

余計なことを言うなと、私はカーテン越しにチロルさんを睨んだ。
期待値をあげるようなセリフは、申し訳ないけどNGです。

だってさらに緊張するし・・・・・。

そんなことを頭の片隅に思いながら、私は深呼吸を一つ。

心の中で『私頑張れ』って自分に呟く。

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