「私でよければ、挑戦してみたいです!千尋さんと一緒に活動してみたいです!」

そうだ、私の夢はみんなに恩を返すこと。

みんなに成長した自分を見てもらうこと。

みんなに『ありがとう』という言葉を形で返せるようにする事。

・・・・・・・。

だったら、成長するまでは別にみんなに甘えてもいいよね?

成長出来たらみんなに『ありがとう』って言えばなんに問題ないよね?

何より、みんな優しく私に手を差し出してくれるんだ。
『私の力になろうとしてくれるみんなを頼らないでどうする?』って思うし。

だから、私は満面の笑みを千尋さんに見せた。
まるで、『これからよろしくお願いします』と言うような、美柳空の笑顔。

そして、真奈美さんも笑ってくれる。

「そうこなくっちゃね!じゃあ早速カメラ回しちゃってもいいですか千尋さん?」

「そうだね。新メンバー、いや新ユニット結成の動画を作成するからね。だから一発目は、可愛い空ちゃんの服探し!実はここの服屋さんには撮影許可をもらっているし。それにちょっと踊ってみた動画の前に、空ちゃんの自己紹介動画を撮ろうと思ったし。『ロリコン好きの人達』でも空ちゃんを使って狙ってみようかな」

「いいねそれ!しかも『現役ジェーケー』だからね。空ちゃんを変な目で見るファンがいっぱい出来そう!」

変な目で見るファン?
真奈美さん、本当に私をなんだと思っているんだろう。

「ちょ!真奈美さん!そんな理由でやりたいって言ったわけじゃないって言うか」

「いいじゃん。使える武器は使わないと よく知らないけど、千尋さんの業界って競争率が凄いんでしょ?」

千尋さんは苦笑いを浮かべて答える。

「まあ・・・・そうだね。結局はファンに認めてもらわないといけないし。そのためには色々と策を練って挑戦もしないといけないし」

「だってさ。じゃあ空ちゃん、ちょっと脱ごうか?」

本当に真奈美さんは頭がおかしい!
ってか『怪しい撮影の監督』みたいに言わないで!

「嫌です!意味わかんないです」

「そんなこと言って、本当は脱ぎたいくせに」

「そんな事思ってません!頭おかしんじゃないですか?」

直後、しまったと私は口を押さえた。
理由は、目の前の真奈美さんの視線が怖かったから。

本当に羊を喰らうオオカミのような怖い視線だ。

だから、食べられるのが嫌な私はすぐに頭を下げる。

「・・・・・ごめんなさい」

なんか情けないな私。
怖くても立ち向かえば、景色は変わるかもしれないのに。

まあ、今はそんなことは関係ない。

千尋さんも苦笑いを浮かべて話を進める。