「いや！変なとこ触らないで下さい」

「そんなこと言って、本当は喜んでいるくせに」

「喜んでないです！うるさいです！」

「それとも『助けて誠也さん』って願っているの？悪いけどお兄は爆睡中だよ」

千尋さんは大きな声で笑う。

「あはは！真奈美は本当に鬼だな。あんた本当に人の子？」

「さあね？でもとにかく空ちゃんは可愛いからからかいたくなる。泣きそうな空ちゃんの顔は、見ていて面白いからね。本当にそれこそ『誠也さん助けてよー』なんて叫んだらもっと面白いのに。まあお兄は私以上に性格がひねくれているから、空ちゃんを助けずに私達「悪の味方』になるだろうけどね」

「あーめっちゃわかるかも。千尋の場合は空のお母さんに毎日酷い悪戯をされたから、その仕返しを空に出来たらいいかなって。お姉ちゃんと空、本当に顔がそっくりだし。『長年の恨みを晴らせる』って思ったら、めちゃくちゃは幸せかも。とにかく千尋、茉尋お姉ちゃんのいたずらが許せなかったし」

だからと言って、『娘の私』を甚振るのは違うと思います千尋さん。
お母さんへの恨みを私にぶつけないで欲しいっていうか・・・。

ってか、こいつらだけは絶対に許さない！
全然離れてくれないし。

「もう！私から離れてください！せっかく出かける支度をしていたのに、もう台無しじゃないですか！」

そうだ。二人のせいで、全く準備が出来ていない。
せっかく自分でセットした髪もメイクもぐしゃぐしゃ。

本当に台無し。

今日は気合い入れて頑張らないといけない日なのに・・・・・。

ってか、二人は何しに来たのだろう？

なんでここに？

・・・・・・・・。

ってか、なんで私ってこんなにいじめられるんだろう。

誠也さんや真奈美さんに千尋さん、海ちゃんや孝太くんに燐ちゃんに花音ちゃんも私を見たらからかってくるし。

お父さんもよくからかって来たし・・・・・。

そういえば私、お母さんにもよくいじめられていたっけ。
お母さん、すごく悪戯好きだったし。

何だか子供みたいなお母さんだったし・・・・・・。

・・・・・・・・・。

まあでも、なんだかんだでこの人達は私の味方だ。