午後九時十五分。
私は大急ぎで待ち合わせ場所である水族館まで全力でダッシュ。
私の家から歩いて二十分くらい。
まあ今日は歩いている暇なんてないけど・・・・。
今は十一月下旬。
冬らしい厳しい寒さを感じるようにはなったが、走ってきたから凄く暑い。
私の額には大量の汗が溢れているし、普段から運動を怠っている私は息も荒れている。
目的地まで走って十分で着いたはいいけど、不思議と帰りたい気分。
ちなみに待ち合わせ時間は午前九時。
十五分の遅刻だ。
だから顔を合わせた瞬間に相手に怒られると思ったけど・・・・・。
「おはよ、空ちゃん。昨日はぐっすり眠れた?」
そう言って笑顔を見せてくれるのは、私の実家であるお寿司屋さんで修行する田中誠也(タナカ セイヤ)さんだ。
いつも私に優しいお兄ちゃんみたいな人。
今年で二十五歳だっけ。
そんな誠也さんに私は深く頭を下げる。
「ご、ごめんなさい!寝坊しちゃって」
誠也さんはまた笑う。
「珍しいね。空ちゃんが寝坊なんて。でもぐっすり眠れたみたいだからよかったんじゃない?」
「よくないです!その、誠也さんを待たせてしまったし」
「相変わらず空ちゃんは自分より誰かの事を優先するよね。ある意味、飲食業に向いているかも」
「へ?」
飲食業に詳しくない私は首を傾げた。
未だにお父さんの店を手伝った事がないし。
誠也さんは私の背中を押してくれる。
「さあ、今日はいっぱい遊ぶよ。まずは水族館。ここの水族館、結構有名な水族館だし」
そう言った誠也さんは、予め買ってくれたチケットを私に渡してくれた。
多分私を待っている間にチケットを買ってくれたのだろう。
何だか申し訳ない・・・・・。
「あ、ありがとうございます・・・・」
「どういたしまして」
私は今日の笑顔をの誠也さんを改めて確認する。
黒のジャンバーにお洒落な赤チェックのワイシャツに、黒のスラックス。
背も高く、短髪で爽やかな印象の誠也さんは、見ていてモデルさんみたいだった。
なんだかすっごくカッコいい。
そんな誠也さんに右手を差し出された。
表情はさっきと変わらない笑顔。
それが何を意味するか恋愛に鈍感な私には全く分からなかったけど、やがて私は顔を真っ赤に染めて『誠也さんの彼女さんに悪いです』と言って否定する。
でも誠也さんは聞いてくれない。
それどころか逃げる私の手を捕まえて、私の左手をしっかり握ってくれた。
凄く大きな手のひらで私の手を離すかと言うように、強く握ってくれた。
何だか『カレシカノジョ』みたい。
私は大急ぎで待ち合わせ場所である水族館まで全力でダッシュ。
私の家から歩いて二十分くらい。
まあ今日は歩いている暇なんてないけど・・・・。
今は十一月下旬。
冬らしい厳しい寒さを感じるようにはなったが、走ってきたから凄く暑い。
私の額には大量の汗が溢れているし、普段から運動を怠っている私は息も荒れている。
目的地まで走って十分で着いたはいいけど、不思議と帰りたい気分。
ちなみに待ち合わせ時間は午前九時。
十五分の遅刻だ。
だから顔を合わせた瞬間に相手に怒られると思ったけど・・・・・。
「おはよ、空ちゃん。昨日はぐっすり眠れた?」
そう言って笑顔を見せてくれるのは、私の実家であるお寿司屋さんで修行する田中誠也(タナカ セイヤ)さんだ。
いつも私に優しいお兄ちゃんみたいな人。
今年で二十五歳だっけ。
そんな誠也さんに私は深く頭を下げる。
「ご、ごめんなさい!寝坊しちゃって」
誠也さんはまた笑う。
「珍しいね。空ちゃんが寝坊なんて。でもぐっすり眠れたみたいだからよかったんじゃない?」
「よくないです!その、誠也さんを待たせてしまったし」
「相変わらず空ちゃんは自分より誰かの事を優先するよね。ある意味、飲食業に向いているかも」
「へ?」
飲食業に詳しくない私は首を傾げた。
未だにお父さんの店を手伝った事がないし。
誠也さんは私の背中を押してくれる。
「さあ、今日はいっぱい遊ぶよ。まずは水族館。ここの水族館、結構有名な水族館だし」
そう言った誠也さんは、予め買ってくれたチケットを私に渡してくれた。
多分私を待っている間にチケットを買ってくれたのだろう。
何だか申し訳ない・・・・・。
「あ、ありがとうございます・・・・」
「どういたしまして」
私は今日の笑顔をの誠也さんを改めて確認する。
黒のジャンバーにお洒落な赤チェックのワイシャツに、黒のスラックス。
背も高く、短髪で爽やかな印象の誠也さんは、見ていてモデルさんみたいだった。
なんだかすっごくカッコいい。
そんな誠也さんに右手を差し出された。
表情はさっきと変わらない笑顔。
それが何を意味するか恋愛に鈍感な私には全く分からなかったけど、やがて私は顔を真っ赤に染めて『誠也さんの彼女さんに悪いです』と言って否定する。
でも誠也さんは聞いてくれない。
それどころか逃げる私の手を捕まえて、私の左手をしっかり握ってくれた。
凄く大きな手のひらで私の手を離すかと言うように、強く握ってくれた。
何だか『カレシカノジョ』みたい。