「まあでも、空ちゃんはやっぱり笑顔が似合うね。怒った顔もかわいいよ」

「うるさい!黙れ誠也さん!」

可愛いとか言うな!
どんな顔したらいいのか分からないじゃんか。

何か『花瓶』とか投げれるものは無いだろうか。
この『ふざけた田中誠也』を懲らしめる方法はないだろうか。

そんなことを考えながら周囲を見渡して武器を探していたら、誠也さんは私の元までやってきた。

『私に殴られるためだけに来てくれたのかな?』って思ったけど・・・・・・。

「とにかく一緒に生きていこう。また辛くなったら、俺や千尋が支えて行くからさ。泣きたくなったら、いつでも泣いたからいいから」

その誠也さんらしい暖かすぎる言葉に、私は頷いていた。

また無意識に・・・・・。

「うん・・・・」

そういえば誠也さん、いつもこうして私を助けてくれたっけ。

弟の武瑠が亡くなった時、こんな風に助けられていたっけ。

・・・・・・・・。

思い返してみたら私、ずっと誠也さんに助けられてばっか。
いじめられている時も、ずっと誠也さんが支えてくれた。

私の話を聞いてくれた。

水族館や遊園地でも、私のためにずっと知恵を働かせてくれた。

冷たいご飯を食べていたら、怒って温めてくれた。

本当にいつもいつも、側に居てくれた。

こんな私のために、いつも励ましてくれた・・・・。

なのに、なのに・・・・・・。

・・・・・・。

なんで、私は『自分の事』しか考えれないんだろう。

なんで私は誠也さん達の気持ちを踏みにじってしまうのだろう。

なんで私はもっと頑張れなかったんだろう・・・。

なんで辛かったら『助けて』って言えなかったんだろう・・・・。

なんで人生どうでもいいと思っちゃったんだろう・・・・・・。

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