「まあまあ。その辺はさっき伝えたから。ってか千尋、空ちゃんの首を絞めるのはやめてあげて」

「あはは。ごめんごめん」

誠也さん言葉に、笑いながら私を解放してくれる千尋さん。
いや、笑い事じゃ無いです。

ってかみんなそうだけど、なんで私をいじめるのだろう。
なんで誠也さんや真奈美さんを筆頭に、私をからかってくるのだろう。

みんなひどいよ・・・・。

千尋さんもまるで誰かに日々酷いことをされているのか、私の首を絞めている時すっごく笑顔だったし。

私にその恨みをぶつけないで欲しいです・・・・・・・。

痛いのと苦しいのは嫌だ。
私は改めて目の前の彼女の姿を確認。
私と同じで髪は短い方だけど、彼女の髪色はすごく明るかった。

私のような高校生にはふさわしくない金髪。

そして私のお母さんにそっくりな顔立ち。
六年前に亡くなったお母さんに、本当によく似ている。

ってか似過ぎて、それしかさっきから言葉が出てこない。

そんな彼女は、私を見て笑顔を見せてくれる。

自己紹介をしてくれる。

「大きくなったね、空。一応、はじめましてかな?あたしは宝千尋。あんたのお母さん、美柳茉尋の妹だよ」

「・・・・お母さんの妹ですか?」

「そうだよ。空は覚えていないと思うけど、昔はよく遊んでいたんだよ。あの頃の空は、言うことを素直に聞いてくれて良かったなー」

最後千尋さんの言葉に、私は心を痛める。
なんだか金槌で頭を叩かれた気分・・・・。

てかそんなこと言わないで。この場にはその言葉を待っている『悪魔』が潜んでいるのに・・・・。

「あはは。まるで『今は言うことを全く聞かない』ような言い方」

案の定誠也さんが食いついて来た。
ホント、私をからかうということには目が無い誠也さん。

そんな誠也さんに、千尋さんは呆れたような口調で言葉を返す。

「当たり前でしょ?勝手に自殺なんてするし。信頼しているはずの誠也や裕香にも相談しないし。とにかく空は勝手な行動が多すぎる」

「それに関しては同感だ。どうやら君は、俺の目が届く範囲のハムスター小屋に入れておく必要がありそうだね」

ハムスター?

ってか前も私のことを『ハムスター』とか意味の分からない事を誠也さんは言っていた。
私は人間でハムスターじゃないのに。

・・・・・・。

ふざけやがって。

もう頭に来た。
「ハムスター小屋って・・・、誠也さん!私、ハムスターじゃないです!」

私の怒った声に、誠也さんは笑う。

「あはは。でもまあ、首輪はしておこうかな?これなら簡単に逃げれないだろうしね」

そう言って誠也さんは、また私に近付いてきた。
同時に誠也さんは自分の両手を私の首に手を掛ける。

「ちょ!誠也さん何を?」

私は暴れようかと考えた。
くだらない事だったら、誠也さんの手に噛み付こうかと思ったけど・・・・・。

・・・・・・。

「これ・・・・」

自分の首に付けられた、可愛い四つ葉のクローバーのアクセサリーが付いたネックレスに、私は見惚れてしまった。

緑色の可愛い四葉のクローバー。

ってか、なんですかこれ?
めちゃくちゃ可愛いんですけど。