「そんな私は大嫌いなんだ!何も出来ない私なんて、大嫌いだよ!そんな美柳空にはなりたくないんだよ!」

最後にそう訴えて、私はまた涙を流していた。
無意識に目の前の誠也さんに抱きついて、大きな声で私は泣き続ける。

一方の誠也さんは、私の心の声を真剣に聞いてくれた。
一度も私から目を逸らさず、一つ一つ私の心の声を受け止めてくれる。

「それが空ちゃんの心の声?」

誠也さんの言葉に、私は大きく頷いた。

そうしたら誠也さんも納得してくれるみたい。

「そう」

いつの間にか、誠也さんの表情は怒った表情からいつもの優しい表情に戻っていた。
そして自分に抱きついて泣き続ける私の頭を撫でてくれると、また提案してくれる。

「じゃあさ、俺達と一緒に考えてみない?『どうやって明日を絶とうとするのか』じゃなくて、『どうやったら明日を楽しく過ごせるか』とかさ」

そう言って、誠也さんは続けて自分の心の不安も語ってくれる。

「俺も本当は今がすごく辛いんだよ。師匠である将大さんが亡くなって、俺も意識を失っていた。それで目が覚めた日には、『ずっと守っていきたい』と思った空ちゃんが自殺未遂。マジで、『なんで俺なんかが生きているんだろう』って思ったもん・・・・」

誠也さんの顔は私には見えない。

でも誠也さんも泣いている事は理解した。
私の頭に落ちてくる雫が何の考えたら、答えはすぐに分かった。

そんな誠也さんはさらに続ける。

「ホント、俺も辛かったんだよ。毎日毎日、俺も明日なんていらないと思っていた」

「せ、誠也さん・・・・・」

・・・・・・。

・・・・・・・・。

「私、・わ・・すか」

「えっ?」

しっかり前を向いて。
嫌でも世界は回っているんだ。

明日はやって来るんだ。

だったら、逃げたところで何にも意味がない。
死んで自分の人生を終わらせることもできるけど、そんなのじゃ自分は救われない。

誰一人、幸せにならない。

何より明日を楽しくすることだけを考えたら、明日が待ちどうしくなる。

人生、楽しくなる。
ずっと笑っていられる。

だから、もっと勇気を出して私。

頑張れ、美柳空。

・・・・・・。