「そんなの私だってわかっているよ!自分が情けなくて、『一人じゃ何も出来ないこと』くらいわかってるよ!誰よりも私自身が一番分かってるよ!」

一人は本当は嫌だ。
人間一人じゃ何も出来ない。

「『誰かがいないと自分自身は変われない』って言うことは、痛いほど分かっているんだよ!」

まるで壊れた目覚まし時計のような私は、静か過ぎる病院の中でそう叫んだ。
他の誰にも、自分にも話していない、『本当の自分の声』を語り続ける私。

お父さんも誠也さんも私も知らない本当の美柳空の声・・・・。

そんな私は堪えきれずに、情けなく涙を流してしまった。
ポタポタと、まるで漫画に出てきそうな大粒の涙を落としながら、私は本当の自分の声を続ける。

「でも、みんなに嫌われたくないから。みんな大好きだから・・・」

みんなとは、誠也さんや真奈美さん、燐ちゃんや花音ちゃんに海ちゃんに孝太くんに松井先生のこと。
ダメな私に手を差し出してくれた、正義のヒーローのような人達。

「みんなに『頼りたい』けど、『助けて欲しい』けど、『迷惑は掛けちゃだめ』だと思った。充分私自身は『みんなに迷惑を掛けている』って分かっているからこそ、『こんな私はダメだ』と思った。みんなに申し訳ない。もう『助けて』なんて言えない。逆に『助けて』なんて言葉を使ったら、こんな私は間違いなく愛想つかされて嫌われる・・・・」

考え過ぎなのは分かってる。
本当はみんな優しいから、どんな状況の私でも助けてくれると言う事は分かっている。

でも・・・・・。

それじゃあ、私自身が成長出来ない。

「だから私、『一人で頑張ろう』と思った。みんなが私の事が大好きだったら、最後にみんなにもっと好かれるように頑張ろうとした。力になってくれるみんなに、絶対に『恩を返そう』と思った。みんなの前で『笑顔』を見せようと思った。そうしたら私、みんなに認めてもらえる。私もみんなも『幸せ』になれる」

でも・・・・・・。

「私、バカだから何をしたらいいのか全く分からなかった。『頑張ろ』うと勇気を出しても、何をしたらいいのか分からない。私はバカだからみんなの気持ちなんて分からないよ」

所詮私は実行に移せない口だけの奴だ。
やりたい事を口にしても、行動に移せないダメな奴。

嫌で大嫌いな『現実』に立ち向かおうとせずに、愚痴だけ言って現実から逃げようとする奴。

それが今の私だ。

情けない美柳空という女。

だから・・・・。