「いつまでも自分の力でなんとか出切ると思うなよこの馬鹿野郎!」

狭い病室に響き渡るほどの、大きな誠也さんの声。
隣の病室にも聞こえそうな誠也さんの大声。

同時に私は誠也さんに頬を殴られた。
誠也さんの『怒り』と『不安』がごちゃ混ぜになった表情を見ながら、私は現状を理解しようとするけど・・・・。

誠也さんは、その表情で言葉を続ける。

「自分一人で何か出来た試しがないだろうが!一人だったら悲しくて泣いているだけだろうが!なんでいつも空ちゃんはいつもいつも俺を苦しめるんだよ!どうしてもっとみんなを頼ってくれないんだよ。どこまでしないと自力で立ち上がることが出来ないのだよ!」

・・・・・・・。

「『意地を張って良いことは何一つない』って、早く気づけよこのバカ空!」

意地?

バカ空?

・・・・・・・。

・・・・・・・・。

うるさい。

「うるさい」

「うるさい?今『うるさい』ってそう言ったの空ちゃん?ねえ!」

うるさいうるさいうるさい!

本当にうるさい!