ベットの上で上体を起こした私は、再び周囲を見渡した。
目の前には私が大好きな誠也さん。

そしてここは病室で、部屋は暗い。
窓の外も暗いから、今は夜なんだろうか。

と言うか今何時なんだろう。

長い眠りから目が覚めた私の視線に最初に映ったのは、涙を見せる燐ちゃんの姿。
燐ちゃん、何度も私に頭を下げて謝っていたっけ。

そして私は燐ちゃんと花音ちゃん、そして海ちゃんと孝太くんと仲良く話をしていた。
面会時間いっぱいまで話して、その後は検査を受けたんだっけ。

意外とすぐに退院出来るって、担当の先生は教えてくれたような・・・・・。

その後はまた眠ってしまって、気が付いたら今だ。
だからさっきの出来事が『夢」に感じだ。

なんだか変な気分。

そんな寝起きの私を見て、誠也さんは小さく笑う。

「ホント、よく寝るよね。今までずっと寝ていたのに。俺が来ても起きないし」

その誠也さんの言葉に、私は顔を赤く染めて反論する。

「う、うるさい・・・・・です」

ちなみに私が顔を赤く染める理由は、大好きな人に寝顔を見られたから。
なんだか凄く恥ずかしい・・・・。

だけどその赤面も一瞬だけ。
誠也さんは私に『現実』を思い出させて来る。

「どうして自殺なんて試みたの?」

そう言って、私に近付く誠也さん。
そして誠也さんは私の両肩を掴むと、悲しい眼差しで下を向く私を見つめていた。

美柳空と言う存在を心配するかのような、誠也さんの悲しい眼差し。
そして話を続ける誠也さん。

「将大さん。お父さんが亡くなったから?」

私は答えなかった。
頷いたり、首を横に振って否定すらしていない。

そんな私を見て、誠也さんは小さく笑う。

「そこは素直になって。じゃないと、空ちゃんを救えないよ」

『空ちゃんを救えない』か・・・・・・。
確かに私が何も言わなかったら、話は進まないよね。

でも正直言って、言いたく無いけど・・・・。

・・・・・・・。

今なら言える気がする。