「誰もそんなの望んでいない!被害者の空が『敵』になることなんて、誰一人望んでない!だっておかしいじゃん。空は何も悪いことしていないんだよ?なのになんで悪者みたいに扱われるのさ。なんで頑張って生きている人間が嫌な思いをしなきゃいけないのさ!」

それが北條燐さんの言葉だった。
どんな絶望にも屈することない強い意思を持った一人の少女の言葉。

そして彼女は自分の言葉を一言にまとめる。

「この世界はホント狂っているよ・・・・・!」

この世界は狂っている・・・・・。

・・・・・確かにそうだね。

自殺しようとした私には、北條さんの言葉はよく分かるし、今さらこの世界で頑張ろうなんて思えない。

だって、私はこの世界が嫌になって自殺しようとした訳だし・・。

・・・・・・・。

「ってごめん、空をいじめたあたしが言える台詞じゃなかったね」

そう言って笑みを見せた北條さんは、私から離れる。

そして彼女は最後まで自分の意思を貫く。

「でもこれだけは空に分かって欲しい。あたし、空の味方になりたい。・・・・・だからその、えっと・・・・」

・・・・・・。

「ねぇ、なんでいつも空ちゃんは一人なの?」

北條さんの言葉の後に、突然聞こえた明るい女の子の声。

なんの前触れもなく聞こえた、もう一人の『友達』の声。
そしてその声の持ち主を振り返ってみると、そこには私と北條さんと一緒に遊んでいた金髪の女の子が病室に入ってきた。
笑顔で私の心を照らしてくれる、小坂花音(コサカ カノン)さん。

いつも明るく陽気な女の子。

と言うか、その台詞って・・・・。

「か、花音?って何そのストレートな言葉?」

北條さんの声に小坂さんは答えることなく、代わりに私達に笑みを見せた。
昔よく見せてくれた、小坂さんの笑顔。

そして、その笑顔はある意味二人だけのメッセージ。

いや、それは三人だけのはじまりのメッセージだ。

私達三人のスタートライン・・・・。

「そう言うこと?めんどくさいな」

そう言って小さな笑みを溢す北條さん。

そして二人は動き出す。

・・・・・・。