「空が側に居てくれたからあたしは『生きたい』と思った。空と一緒に居たら、どんな絶望に立ち向かえると思った」

北條さんは少し間を置くと続ける。

「だからあたし、笑い続けた。『笑ったらあたし、変われるかな？』って思ったから。・・・・・って変かな？」

・・・・・。

「変じゃないと思います」

「なんで？」

「な、なんでって・・・・理由は特にないです」

「は？アンタふざけてるの？」

「ごめんなさい！で、でも」

「でも？」

・・・・・・。

やっぱり北條さんは私と違って凄い人だ。

誰かに『自分は変わりたい』なんて台詞、普通は言えないのに。

「『変わること』ってカッコいいと私は思います」

私がそう言ったら、北條さんはまた笑う。

それも、出会って一番の笑顔を私に見せてくれる。

「カッコいいって・・・・・あはは！」

「なんで笑うんですか！」

「ごめんごめん！でもやっぱり空と出会えて良かったかも。人の心を持たないあたしがここまで変われたのは、間違いなく空のおかげ」

空のおかげか・・・・・・。

「だからごめんなさい。酷いことや嫌になることをして、本当にごめんなさい。また空と『友達』になりたいです」

・・・・・・そう言ってくれると私も嬉しいです。

でも、頭を下げる『友達』の姿は私は見たくない。

「顔、上げてください」

私の言葉に、頭を下げていた北條さんは顔を上げてくれた。
そしてそれを見た私もすぐに頭を下げて謝罪する。

私も北條さんへの想いを口にする。