「よーし。ってことで今から空と誠也は明日決める場所でも決めてろ。後片付けは俺とババアでやっておくからよ」

いつの間にか『ババア』と言う言葉が定着しているおばあちゃんは、驚いた様子を見せた。
そしてお父さんに抵抗する。

「は?アタシはしやんぞ!」

「うるせえ。黙って『空のため』に洗い物でもしてこい」

またその言葉。
本当にお父さんはズルい・・・・。

おばあちゃんも大人しくなるし。

「そう言われたら何も言い返せねぇな」
空のため。
まるで魔法の言葉のように、おばあちゃんは行動してくれる。

すぐに洗い物がある裏方に消えていくおばあちゃん。

お父さんもかつての師匠を手玉に取っていると感じたのか、悪そうな笑顔が止まらない。

相変わらず性格の悪いお父さんだと私は私は再認識。
私もいずれはお父さんみたいになっちゃうのかな?

そんな性悪お父さんは、また私の背中を押してくる。

「空、苦しかったら無理に頑張るな。お前の人生は長いんだからよ」

お父さんは続ける。

「嫌でも世界は回っているんだ。明日は来るんだ。だったらその明日をどう楽しく過ごせるか。それが人生を楽しむコツだ。もし明日が嫌なら、逃げてしまえばいいだけの話だ。簡単だろ?分かったか空?難しく考えるな」

『明日も世界は回っている』確かにそうかもしれない。

『明日を良くしよう』と今日を頑張ったら、必ず良いことがやって来るだろう。
生きている以上、必ず明日はやって来るんだし。

と言うか、嫌でも明日はやってくんだ。
嫌って言っても、世界は待ってくれないんだし・・・・。

・・・・・・・。