「ごめん。あたし、ちょっと空の元に少しだけいてもいいかな?後で行くから」

あたしの言葉に少し驚いた表情を見せたみんな。
でもすぐに納得してくれたのか、海だけは海は小さく頷いてくれた。

気が利く言葉も言ってくれる。

「うん!住所送るから絶対に来てね」

そう言ってくれると助かる。
『海の家に後で行く』って言っても、海の家には一度も行ったことないから後で迷子になるのが関の山だし。

「ありがと」

こうしてあたしだけ残ってみんなは部屋を後にした。

病室にはあたしと眠ったままの空の二人だけ。

聞こえるのはあたしの心臓の音だけ。

病室の外には誰もいないのか、静かな空気が流れている。
本当に物音一つしない。

まるであたしと空しかいない世界みたいだ。
他に人は一人もいない。

・・・・・。

あたしはベッドの上の空に近寄って、空の小さな右手を握った。
とても暖かい空の手、いつも冷めきっているあたしとは大違い。

そんな暖かい空の頬に、あたしの手を当てる。
やっぱり暖かい。

ってか空、髪切ったんだね。

長い方もいいけど、短い方が似合っているかも。
明るくなったように見えて、スッゴクお似合いだよ。

本当に可愛くて似合っているよ。
似合っているのに・・・・。

・・・・・・。

・・・・やっぱりあたし、本当のバカ。

どうしてあたしは、人を傷つける事しか出来ないのだろう・・・。