「じゃあね、空ちゃんのこと頼んだよ」

その誠也さんの言葉通り、性悪兄妹は病室を後にした。
千尋さんも真奈美さんに腕を引っ張られて退場。

と言うか、千尋さんに逃げ場はないのだろうか？
本当に可哀想かも。

「行っちゃった。ってか田中兄妹恐るべし」

海のその言葉の後、孝太は携帯電話の時間を確認。
念のためにあたしも携帯電話で時間を確認・・・・。

時刻は午後六時前だった。
正確には五時五十七分。

・・・・・。

「帰ろうぜ」

孝太がそう呟くと、みんなは小さく頷いた。
花音も孝太の声に反応して、あたし達の方へ視線を変えてくれる。

どうやら空との別れの時間だ。
まあでも、ここに来たらまた明日も会えるけど。

そんな中、海が提案する。

「ってかお腹すいた！ねぇ、みんなで食べに行こうよ！ってかウチでタコパしよ！私の家、結構近いし」

「賛成！りんりんも行くでしょ？」

最初に言葉を返したのは花音だった。
笑顔であたしの腕を引っ張る。

と言うか、『嫌』と言っても、海と花音に強引に連れていかれるだろう。
困ったものだ。

まあ帰っても『嫌な思い』をするから、まだみんなと居たいのが本音だけど。

・・・・・・。　

でも一つだけ、どうしてもその前にやらなきゃいけないことがあるんだ。

じゃないと、あたしがここに来た意味がない。