「よーし！じゃあ私は戻ろうかな。お店も営業するし。千尋さんにも手伝ってもらお！」

突然の真奈美さんの声に、誠也さんは頷く。

「そうだな。千尋がいると売り上げが伸びるみたいだし」

一方の千尋さんは驚いた表情で真奈美さんへ振り返る。
慌てて涙を拭いた千尋さん。

「えっ？千尋はそんな」

「何？ボロ雑巾みたいに使われるのは嫌ですか？」

千尋さんの言葉を上書きする真奈美さんの言葉に、千尋さんは反論する。

ってか真奈美さん、性格はあまり良くないって分かったけど、言葉が恐いよ・・・・・。

「嫌に決まっているじゃないですか！もう！昨日も一昨日も手伝って酷い目にあったんだから！真奈美も誠也同様に性格悪いな！」

「それについては仕方ないよ。私とお兄はそうやって厳しい人生を歩んできたんだから」

「だな」

誠也さんはそう言ってまた頷いた。
なんか一瞬、『この性悪兄妹に囲まれた空が可哀想だ』と思ったあたし・・・・。

そんな性悪兄妹の真奈美さんは言葉を付け加える。
まだまだ千尋さんをいじり倒す。

「まあ、本当は千尋さんをからかうのが楽しいだけなんですけどね。『年下にいじられる』ってどんな気持ちですか？」

その言葉の直後、性悪兄妹の誠也さんは大きな声で笑い出す。

「あはは！真奈美、面白いこと言うな」

「もう！知らない」

笑う兄妹と、怒りを露にする千尋さん。
流石にかわいそうになってきたかも・・・・。

海も孝太も、ちょっと性悪兄妹に付いていけないみたいだし・・・・。
苦笑いを浮かべて怒る千尋さんを見守るだけ。

ちなみに花音はみんなの会話を聞こうともせずに、ずっとベッドの上で眠り続けるの空の姿をを見つめていた。

久しぶりに見る友達の姿に、ショックを受けているのだろう。

花音、あたしや海や孝太以上に空のことを想っていたし。

・・・・・。

まあ、当たり前だよね・・・・。