「どうだ?空。こんなにもお前の『味方』になってくれる人がいるんだ。少しは俺達を信用してくれないか?」

確かにお父さん達を全く信用していなかったのは事実。
信用していなかったから、お父さんに嘘ついていた訳だし。

だけど、その前に一つ確認したいことがある。
気になることがある。

「でも明日は水曜日だよ。学校もあるし」

「お前は大好きな誠也と遊ぶのと学校でいじめられるの、どっちを選ぶのだ?」

まるで私の言葉を待っていたかのような、お父さんの言葉。
即答だった。

そしてその言葉を聞いた私は、ふと脳裏に今日の出来事が再び浮かんだ。

学校内で起きた、私へのクラスメイトからのメッセージ・・・・。

当たり前のように教室の外に机や椅子は投げ捨てられ、お昼休みにはお父さんが作ってくれたお弁当を捨てられたり。
体育の授業の後は水をかけられたり、その他にも嫌なことばかりされた今日の辛過ぎる一日。

それがまた明日も続くと思ったら、『学校なんてどうでもいい』と思った。
中学三年生の時に『受験勉強なんてしなきゃ良かった』と思う・・・・・。

でもこれは私が選んだ道だ。
簡単に逃げたくない気持ちがある。

「逃げたら解決なんてしないよ」

私の言葉にお父さんは笑う。

「あはは!確かにそうだな」

お父さんは続ける。

「だからこその息抜きだ。長いトンネルになるかもしれないからこその息抜き。水泳でも息継ぎしないと溺れてしまうだろ?それと一緒だ。それに『辛いときに頑張って良かった』と思える日は必ず来る。なあ?俺にコキ使われている誠也くん?お前も早くこんな店出て、独立したいんだと思っているんだろ?」

突然名前を出された誠也さんは苦笑いを浮かべる。

「あはは。なんかすっげー爆弾投げつけられた気分・・・・」

そう言った誠也さんも、お父さんのように優しく私を元気付けてくれる。

「空ちゃんは俺が守るよ。だから空ちゃんも、『苦しいとき』があったら俺に相談して来てよ。相談してくれないと、俺も空ちゃんを守れないだろ?」

相談か。
確かにそうだ。

「うん・・・・・」

今日はお父さんが助けに来てくれないけど、本来は自分が『助けてほしい』と言わないと誰も救ってくれない。
黙っているだけじゃ、自分の味方は増えない。

と言うか本当は心の底では『助けてほしい』と願う自分がいるのに、なんで変なプライドが邪魔するんだろう。
ホント、自分が『バカ』だと思わされる・・・・・。