「川下、高林、ありがとう」

二人の言葉は暖か過ぎる。
そう感じたから、あたしは小さな涙を溢してそう答えた。

『みんなが一つ』になった言葉なのに・・・・。

・・・・・。

突然川下は怒り出す。

「こら!さっき下の名前で呼べって言ったでしょ?やり直し」

やり直し?

は?

「えっ、ちょ、待って」

「うるさい。もう一回」

海の怖い声に混乱するあたしは必死に言葉を考えたけど、あまり言い言葉が思い付かない。
何を言ったら良いのかわからない。

一方で、高林はあたしを説得してくる。

「だってよ。海の奴、こう言うのうるさい奴だから。めんどくさいと思うけど我慢してくれ」

う・・・・確かに。
本当にめんどくさい奴だ。

正直言って頭おかしいよ川下は・・・・・。

でも高林の言う通り、川下は本当に真っ直ぐな女の子だ。
あたしが『本気』になれば、川下も『本気』になってくれた。

あたしが『友達』と言えば、川下も『友達』と言ってくれた。
川下のやつ、本当に『あたしのことを信用してくれているんだな』って思った。

川下と空をいじめた、最低なあたしなんかを信じようとしてくれた。

ホント、まっすぐな奴・・・。

・・・・・・。

だったら、たまにはあたしも人を信じてみようかな?

もっとあたしも『素直』になってみようかな。