「一応確認だけど、北條は私達のことをどう思っているの?」

「どうって?」

「殴り合いした仲じゃん。大好きな空ちゃんを殴ってしまう程精神が追い込まれていたのは分かったけど、私には完全に敵意むき出しだったよね。その後も私を攻撃し続けたし」

川下は一度呼吸を挟むと続ける。

「だからさっき仲直りしたけど、一応確認って言うか。別に『反省しろ』とかは言わないけど、ただ今のアンタから見て『私達のことをどう思っているのかな?』って思ったから」

「えっと・・・・」

あたしは言葉を考えた。この場合、『何が一番適切な言葉』か考えるけど・・・・・。

川下の隣に座る高林は、あたしの思考を砕いてくれる。

「北條、もう逃げなくていいぞ。こいつは本気だ。お前が本気だったら、海も本気になってくれる。実際にお前が本気になって『敵意』を見せたから、海も本気になって『敵意』を見せたんだしよ」

そう言って高林は笑った。
何故か可愛いと思ってしまう、彼の不思議な笑顔。

高林は言葉を続ける。

「また素直になれよ。人生そっちの方が楽だぞ」

「孝太くんらしいアドバイスだね」

そう言って、川下も小さく笑っていた。
まるで、あたしの背中を押すように。

あたしの『言葉』を待つように・・・・。

・・・・・・。

どうやらもう嘘は付くことは許されなさそうだ。