でも龍の合図によって、あたしは数人に暴行された。
蹴られたり殴られたり、一人のあたしを痛め付ける最低な彼ら。

『痛い』と訴えても、泣いても何も意味はない。

奴らには『人の言葉』なんて通用しない。
人の話なんて聞いてくれない・・・・・。

でも、そんなあたしを助けてくれる親友がいる。

大好きな花音がいる。

・・・・さっきの状況と同じだ。

本当に花音だけは頭が上がらない。
花音には一切今日のことを伝えてないのに、いつもすぐに駆け付けてくれる。

『勝てない』って最初から分かっていても、あたしを助けてくれるヒーロー。

突然あたしの前に現れる、花音。

・・・・・。

でもあたしの味方になってくれた花音だけど、花音は喧嘩なんてしたことない。
だからすぐにあたし同様に暴行された。

同じく蹴られたり、殴られたり・・・・。

あたし、花音が来てからずっと泣いていたっけ。
『花音に手を出すのだけはは止めろ!』って、泣き叫んでいたっけ。

そしてもう一人。
あたし達の存在に気がついた『友達』がいる。

あたし達の前に現れた女の子がいる。
名前は美柳空と言う気の弱い女の子。

いつも一人で過ごしていた、あたしに良く似た大好きな友達。

大好きな弟の元に行っていたのか、表情は暗かったっけ・・・・。

そんな空はあたし達に気がついてくれた。
『助けて!』って叫ぶあたしと目があった。

だからあたしは『助けてくれる』って信じていたのに。

・・・・・。

空、すぐに逃げちゃった。
『助けて』って何度も空に叫んだけど、空はどこかに行っちゃった。

確かこのトンネル、空の帰り道だったはずなのに。
本当に、助けてくれると信じていたのに・・・・・。

ホント、あの時は最悪な気分だった。
泥を飲んだような、最悪な気分・・・・・。

・・・・・。

でもさ、今思うと『助けてれなくて正解だったんじゃないかな?』ってあたしは思う。

だって、空には今のあたしの『本当の顔』を知られたくなかったし。
龍と健斗との関係を知られたくなかったし。

あたしの本当に顔を見られたら、多分空まで龍と健斗にいじめられるようになったと思うし。

・・・・・・。

まあ、実際に空に手を出そうとしていたんだけどね。
そのせいであたしが空をいじめるようになったし。

『空って言う燐の友達をいじめないと、俺達が空をいじめる』って龍はあたしに命令して来たし。

・・・・・・・。

ホント、どこまであたしを苦しめるんだろう・・・・。