そういえばあの時もそうだったっけ。
『空と最悪の関係になってしまった夏休みの終わりの時』もそうだっけ。

花音、自分は何一つ関係ないのに、あたしを助けようとして戦ってくれたけっけ。

まあ、結局あたしも花音もボコボコにされたけど。

・・・・・・。

「えっと、何がどうなっているの?」

そう呟くのは川下だった。
現場を何一つ見ていない川下は、あたしに抱き付いて泣く花音や、頭から濡れているあたしの姿を見て戸惑っている。

一方で川下同様に現状に付いていけない高林は、川下の肩を二度叩いて店内に戻ろうとする。

同時に暗い顔で、あたし達に提案する。

「とりあえず席に戻ろうぜ。あともうめんどくさいからお前らが抱えている闇、全部吐き出そうぜ。もちろん、お前らが空をいじめた理由もな」

高林の言葉に無意識にあたしは頷いた。

さっきまで凄く嫌がっていたのに。

「うん」

でも二人に龍と健斗の存在を知られた以上、逃げられないよね。
ここまで二人との関係を見られて、もう黙ってはいられないし。

そんな余裕なんてないし。

・・・・・・。

と言うか、もうこうなったら高林と川下に助けてほしいし。

あたしの闇を払ってほしいし。

あたし達は自分達が座っていた席に戻った。
家族や友達同士で楽しく食事をする一角で、どんよりしたとても重たい空気が流れている。

そんな中、最初に口を開いたのはあたしだった。

龍と健斗の出会い、自分の過去、そして空をいじめた理由について全部話していく・・・・・。

後戻りはもう出来ない・・・・・。