「川下、ごめんなさい・・・・。あたし、ずっと間違ったことをしていた」

また川下はあたしのその言葉に驚いた表情を見せた。

でも今回はほんの一瞬だけ。

本当に、今日の川下は笑ってばっかり。

「別にいいよ。そんなにアンタの事恨んでないし」

そう言った川下だったが、すぐに笑顔が消えた。

そして凄く真面目な表情で、あたしに『約束』をしてくる。

「でも一つだけ。必ず空ちゃんの前でも同じことを言ってよね。『自分が何をやった』のか分かっているならさ」

分かってるって。
じゃないとこんなこと言わないのに。

「うん。分かった」

「約束ね。絶対だよ!」

『絶対だよ』と言う言葉が余計に感じたから、あたしは反論する。
また川下と喧嘩してしまう。

「うるさいな。『分かっている』って言ってんだろ?」

やけくそにあたしは言葉を返した。
態度も悪く川下に小さく舌打ち。

そしたら案の定、川下は怒った表情に変わった。

って言うか、やっぱりあたしとアンタの関係はこっちの方が面白いよね。

「何よその態度!頭に来るな!」

「お前のその怒った顔の方が頭に来るし」

「んだとこら!」

彼氏に似たのか知らないけど、川下はあたしの肩を殴ってきた。
結構痛いし・・・・。

「痛っ!テメェー暴力は反則だぞ!」

「うるさいな!ってアンタも殴ってくるな!痛っ」

お返しにあたしも川下の肩を殴り返した。
同時に彼氏との会話でよく聞く言葉をあたしも使ってみる。

「黙れこのタコ星人」

「誰がタコ星人よ!頭に来るな!」

川下の怒りが増したように感じたから、あたしは笑った。

コイツ、からかうと結構面白いかも。

そしてそれからも川下とくだらない喧嘩をして無駄な体力を消耗した。
いつの間にか『美柳空と言う女の子には、川下海か北條燐のどちらが友達に相応しいか』って会話に変わっているし。

なんかちょっぴり楽しいかも。

一方の高林のはあたし達の姿を呆れて見ていた。
花音はあたしと川下が仲直りしたことに嬉しいのか、笑顔が止まらない。

と言うか花音、あたしらの喧嘩に参戦してくるし。
何故だか川下の味方になって、あたしを攻撃してくるし・・・・。

意味わかんない・・・・。

こうしてあたしにも笑顔が戻り、目的地のレストランへ移動する。
何だかこれからの時間が楽しみだ。

空も早く目を覚まして一緒に来たらいいのに・・・・。

そして、これであたしも今日一日楽しめたらいいのに・・・・・。

・・・・・・・・。

悪に染まったあたしを神様は簡単には許してくれない。