「別に空をいじめる必要なんてなかったんじゃねぇのか?」

高林の言葉に、花音は冷静に答える。

「まあね。そらちゃんは何も悪いことしてないからね。そもそもの話を言うと、暴行されていたかのん達が悪いし。暴行される原因があったし」

「じゃなんで空をいじめた?」

「理由なんてないよ」

「はあ?どういうことだ?」

「言葉通りだよ。ただかのん達がクズだったから。話し合えば済む話なのに、『裏切り』ってことにしてそらちゃんをいじめた。理由なんてない」

「意味わからねえよ・・・・」

高林は小さな息を吐いた。
呆れたような、『お前らやっぱりおかしい』とでも言うような表情。

一方の花音の表情は変わらない。
高林から目を逸らし、まるで他人事のように無表情で答え続ける花音。

会話はまだ続く・・・・。

「まあでも、そこについてはまだ話せないかな?『そらちゃんの居場所』を作るためにこうやって不仲なメンバーで遊園地に来たけど、まだかのん達の口からは話せないや。『そらちゃんをいじめた理由』については」

「じゃあいつか話せる日が来るのか?」

「さあね。もう闇の中に捨ててしまうかも」

「なんだよそれ・・・・」

引き続き呆れた表情で花音を見つめる高林。
同時に少し怒っている。

でも高林は『今があたし達にあの日の事を聞くチャンス』だと感じたのか、別の話を問い掛ける。

「ってか『お前らを暴行していた奴等』って、何者なんだ?」

その言葉に初めて花音が表情が歪んだ。
一番聞かれたくない言葉に、花音はどうしようもない感情と共に唇を噛み締める。

言葉も失う・・・・。

ってか、流石に花音の口からは言いづらいよね。