「んで、かのん達はこれからどうするの?」

川下が答える。

「どうするの?って、アンタがこうしたいって最初に言ったんだからね」

花音は笑う。

「あはは。そうでした。ごめんごめん。かのんが『二人とも仲良くしてね』って言ったんだもんね」

二人とも。
それはあたしと川下の事だ。

花音は『あたしと川下が仲良くなれば、空が自殺することはなかった』と考えているみたいだ。

空は前から『自分より友達を大切にする奴』だし、その友達同士か『喧嘩やいじめ』なんてしたから、空も心を痛めてしまったのだろう。

空は心の底から優しい奴だし。

だからこそ、その二人が『仲直り』することで、物事はいい方向に進むと花音は思ったのだろう。

『最初からあたしと川下が手を繋げば、すべて解決していた話』だと花音は前に言っていたっけ。

まあ、結果的に最悪な結果になってしまったけど・・・・・。

って言うか、あたしがそんな綺麗事を言える立場じゃないし。
川下との争いは、全部あたしから吹っ掛けたようなものだし。

それに川下は何一つ悪くないし。
川下の奴、自分への悪口は全部我慢して、空への悪口にしか反応して来なかったし。

ある意味器の大きな奴・・・・・・。

だからあたしも『空のためなら川下と手を組んでもいい』と思った。
正直言って、あたしは川下に『悪いことをした』と思っているし。

あたしが川下に謝って素直になれば、物事は丸く収まると思う。
『ごめんなさい』って川下に頭を下げたら、空も悲しまないとあたしも思う。

でも・・・・・・。

あたしにはそんな勇気はないんだ。
『悪いことをしたら謝る』のが人間の普通の常識なのに・・・・・。

・・・・・・・。

あたしは謝ることすら出来ない非常識な人間だ。

どうしても言葉が出てこない。

何より、どうやって謝ったらいいのかあたしにはわからないし。

そんな事を考えている間も、あたしを置いてみんなの話は進んでいく・・・・。