「まっ、とりあえず行こうよ。今日はたくさん楽しむよ!」

苦笑いを浮かべる川下の言葉に、高林は優しい表情で頷く。

「だな」

こうして花音のテンションを無視しながらあたし達は遊園地のゲートを潜っていく。
大きな不安と、少しの楽しみを胸に、あたし達は遊園地内に入っていく・・・・。

ちなみにここで川下と一緒にいる理由は、川下から誘われたから。
空が入院して、生徒玄関でみんなで話していた次の日の事だ。 

昨夜に何かあったのか分からないけど、川下はいきなり『空ちゃんのために仲直りしよう』って私に言ってきた。
そして『遊園地で遊ぼう』って提案してきたっけ。

その時『こいつは何を言っているんだろう』ってあたしは思った。
だってお互い最悪な関係だったし。

そんな川下の提案に、あたしは『断ろう』かと思った。

だってあたし、川下のことが嫌いだし。
高林のも嫌な存在だったし。

・・・・・・・。

でも『空のため』だと思ったら、何故だかあたしは頷いてしまった。

だって、空とまた仲良くなれるなら、あたしも何でも協力したいし。

『こんなに空を追い込んで何を言っているんだ』って思われると思うけど、あたしもまた空と仲良くしたいし。

本音を言うと、空をいじめたくなかったし。

ただ命令されただけだし。

何より、あたし自身も空や川下達に助けて欲しいし・・・・・。

じゃないと、花音が可哀想だよ・・・・。
もう傷つく花音は見たくない。

あたし、何も出来ないし。
花音と違って戦えないし・・・・。