「だって反対するでしょ?『空ちゃんのために、私は北條と友達になるように頑張る』って言ったら」

「・・・・本気か?」

案の定、孝太くんの表情が強ばった。
まるで自分のことのように、私の未来を心配してくれる孝太くんの不安な表情。

でも、私はその表情に返す言葉を考えてある。

「私、嘘つけないから」

それは、『曲がった考えが嫌いな私』をよく知る孝太くんにしか伝わらない言葉。

だからこそ、私がそう言ったら孝太くんに伝わると私は思った。
孝太くんを私の味方に引きずり込もうと思った。

でも・・・・・。

まずは話し合いが大事みたい・・・・。

「なんで、そんなことをするんだ?」

私はすぐに答える。

「だってその方が話が簡単じゃん。元々北條と空ちゃんって『友達』だったんだし。私と北條が仲良くなったら、空ちゃんもまた居心地いいでしょ?また二人も仲良くなれるでしょ?」

「確かにそうかもしれねぇけど・・・」

『お前が心配だ』と、続けて言いたそうな孝太くんの不安な表情。
先ほどの表情と何一つ変わっていない。

むしろ深刻になる一方。

そんな孝太くんを安心させるように、私は思いきって切り札を持ち出す。
誰一人と喋っていない、本当の事を伝える。

「大丈夫だって!多分向こうもその気だし」

「向こう?どう言うことだ?」

私は少し間を置いてから答えた。

そしてずっと孝太くんと空ちゃんに、『隠していたこと』を伝える。

・・・・・・。

「小坂。アイツは私達以上に空ちゃんの味方だよ。表向きには空ちゃんをいじめていたけど、裏では北條を説得させて、私に何度か助言を求めに来ているし」

・・・・・・・。

流石に信じられないよね。
孝太くんも今日一番驚いているし。

「はあー?小坂がお前に助言を?」

「私と北條が初めて殴り合った道場での出来事、覚えている?空ちゃんと友達になれたあの日のこと」

孝太くんは小さく頷きながら答える。

「あっ、ああ。よく覚えている。俺もその日に初めて空と話したし」

「その日の翌日にね、実はめちゃくちゃ小坂から謝られたんだ。『北條の件についてごめん』とか。これから『北條が酷い事をしてくるかもしれないけど、少しの間は我慢して欲しい』とか」

次々と、誰にも言えずに『隠していたこと』を語る私。
実は小坂と連絡を取っていた私・・・・。

そしてその証拠を見せるために、私は携帯電話の画面を孝太くんに見せた。
携帯電話の画面は、小坂とのメッセージのやり取りの画面だ。

私が『小坂と話をした』と言う証拠の画面。

流石の孝太くんもちょっとは信じてれたかな?