「でも『何をやるか』、か・・・・。結構難題だな」

孝太くんの言う通りだ。
行動しようにも、何をするか決めていなかったら意味がない。

と言うか、何をしたらいいんだろう。
勢いよく『頑張る』と呟いてみたけど、何を頑張って何を始めたらいいのかわからないし・・。

それに、『空ちゃんのためになること』か・・・・。

まあ、あるにはあるんだけど。
その行動を起こすには、まだ私自身の勇気が足りない気もする。

私自身もその行動には心を痛めているし。
何よりまだ『アイツ』とはまともに話せないし・・・。

そうやって未来の空ちゃんと自分の姿を想像していたけど、松井先生の言葉で話が変わる。

「まあでも、誠也が側にいるなら空ちゃんも少しは安心だな。ってか誠也、お前の体は大丈夫なのか?」

誠也さんは苦笑いを浮かべて答える。

「まあね。本当に俺は軽傷で済んだみたいだし。全然歩けるし、腕の骨が折れたくらい」

「ホント、『奇跡』だな」

「そうだね・・・・」

誠也さんはそう小さく呟くと、ベットの上で眠る空ちゃんの姿を一度確認した。
とても辛そうな表情を見せる誠也さん。

・・・・・・。

誠也さんがこうして無事なのも、空ちゃんのお父さんが誠也さんを守ってくれたから。

最後の最後まで、空ちゃんのお父さんは誠也さんを衝撃から守ってくれたみたい。

ホント、『奇跡』だよね・・・・・。