「まさか、裕香が海ちゃん達の担任とは思わなかったな。高校で教師やっていたとは聞くけど」

動揺し続ける私に変わって、誠也さんは話してくれた。
いつもの笑顔で話す誠也さん。

そしてその言葉に、松井先生は笑顔を見せる。

それも不気味な笑み・・・・。

「あっ、それあたしも!ウチの生徒の店で働いているとは思わなかったし。おまけにその生徒に浮気するし。つか女子高校生に手を出すとかありえねぇし、犯罪だぞ。『淫乱条例』って知ってるのか?」

「やっべー、俺本気で彼女に怒られてるし・・・・。ってか手は出してないから、そこだけは安心して・・・・」

そう言えば空ちゃん、前に『誠也さんに彼女がいる』って話になった時、凄く動揺していたような。

・・・・・・。

その彼女さん、松井先生の事だったんだ。
空ちゃんが言葉を濁す理由が分かったかも。

まあ、何となくだけど・・・・・。

ってそんなことより、私達は空ちゃんのお見舞いに来たんだ。
まだ空ちゃんの姿を見ていない。

そう思った私は、部屋の奥にあるベットに視線と自分の足をを移した。
とても綺麗な顔で眠る空ちゃんの寝顔がそこにはある。

・・・・・・。

と言うかなんでこんなことになっちゃったんだろう。

空ちゃんはただ、『一生懸命頑張って、生きていてきただけ』なのに。

・・・・・・。