「海。今日は無理でも、明日や明後日にも必ず空ちゃんの所に行ってきなさい。もちろん彼氏も連れてね」

彼氏?
お姉ちゃんは何を言ってるの?

「か、彼氏って孝太くん?ってかまだ彼氏じゃないし!」

「『まだ』ってことは付き合う気なんだ」

鋭いお姉ちゃんの言葉に私の顔が真っ赤に染まる。

と言うかいらんこと言うな!

「ばかねぇ!早くタコパの準備しろ!」

「はいはい」

そう言えば昨日、クリスマスの話をしていたっけ。
『今年こそは孝太くんと一緒にクリスマスを過ごせるんだ』と思うと、嬉しく思う。

去年は家族で過ごしていたし。
確かまだお母さんさんもいたっけ。

まあ、その今年のクリスマスの話も、その後の事で全て忘れちゃったけどね。
本当に今の今まで忘れていたし・・・・。

・・・・・。

でも今年中に、必ず孝太くんへ想いを伝えてやる。
絶対に孝太くんを自分のものにしてやる!

そう小さなやる気の炎を灯しながら私は、たこ焼きパーティーの準備を急いだ。
凪が持ってきたたこ焼き機を暖めたり、お姉ちゃんが切った具材を食卓に並べたり。

そんな中、またお姉ちゃんは私の名前を呼ぶ・・・・。

「海」

「もう。何?」

二回目だから、流石にイラっと来た。
また私をからかうような、無視しようかと思ったけど・・・・。

・・・・・・。

「『自分が素直になれば、みんなも素直になってくれる』ってことを忘れちゃダメだからね。そしてどんな状況でも、『自分の素直な意思』を持ち続けなさい。時間は掛かるかも知れないけど、自分が素直な内は、必ずみんな振り向いてくれるからさ」

その暖かい言葉に、いつの間にか私は笑顔で頷いていた。

お姉ちゃんや孝太くん。私には『頼りになる仲間』がいると改めて思わされる。

不思議とやる気にさせてくれる。

・・・・・・。

だったらもっと頑張らないと。

空ちゃんだって私が救ってみせる!

「うん!」

そう力強く、最後に大きく頷いた私。

今なら何でも出来そうな予感がする!