「いつもの海お姉ちゃんに戻ったね」

その嬉しい言葉に、私の動きは止まってしまう。

いつの間にか凪に励まされて、私の動きは停止する。

って、・・・・え?

そしてその凪の言葉の直後、隣から聞こえるお姉ちゃんの笑い声。
お腹を抱えて笑う直美お姉ちゃん・・・・・。

「あはは!なにその凪の言葉!」

「ちょ、お姉ちゃん!ここはガツンと凪に怒る所じゃ・・・」

「怒っていいならまずは海に怒るわよ。いつまでもそんな暗い顔していてどうすんの?って」

「お姉ちゃん・・・」

これ以上は何も言い返せない。

そう感じた私は凪への攻撃をやめた。
凪も私から解放されて嬉しいのか、私に向かって舌を出して挑発している。

そして直美お姉ちゃんは、私と凪の戦いに余計な一言を言ってくる。

「ってことで凪、もう一度たこ焼き器で海お姉ちゃんを殴ってもいいわよ!ダメな海お姉ちゃんを懲らしめてやりなさい」

「ホントに!」

懲らしめるべき人間は直美お姉ちゃんだった。

そう後悔した私は直美お姉ちゃんに反論する。

「ばかねぇ!何を意味分からないことを凪に教えているのさ!凪もやめろ!」

「嫌だ。『海お姉ちゃんを殴る』って決めたんだもん」

コイツら頭おかしんじゃないの?
凪に関してはまたたこ焼き機で私の頭を殴ろうと来てくるし。

と言うか凪、本当にたこ焼き機で殴って来やがったし・・・・。
本当に私相手には容赦しないよね、コイツらって。

次女をなんだと思っているのだろう。

「痛っ!もうゆるさない!」

「きゃー!海お姉ちゃんが怒ったよー!」

「このばか凪!」

隣の部屋に逃げる凪だけど、私は何とか凪を捕まえた。
そしてお決まり事のように、再びくすぐり攻撃で凪を懲らしめる。

本当に可愛い妹だ。
お姉ちゃんは私達の存在を見て小さく笑いながら、本来の今日の晩御飯をすべてラップして台所に戻していた。

明日の朝食は唐揚げなんだろうか?

それから暫く凪と一緒にじゃれあっていたけど、私もすぐにたこ焼きを焼く準備をするお姉ちゃんを手伝った。
頻繁に川下家ではたこ焼きパーティーをするから、食材はいつでもなんでも揃っている。

まるで屋台のたこ焼き屋さんみたい。

そしてたこ焼きが食べれると思った私からはいつの間にか笑顔が溢れていた。
そしてさっきまで泣いていた私なのに。

だから本当に『家族の力ってスゴいな』って私は感じた。
どんな状況でも私を笑顔にさせてくれるから、本当にすごい。

そんな中、お姉ちゃんは私に提案してくれる。