「いったぁー!」

隣の家に響き渡るほどの大きな私の悲鳴。
『痛い』ってレベルじゃないほど痛いから、私は手足を動かして『痛み』と戦う。

いや、ほんと痛い。
ありえないほど痛い!

マジで痛い!

そんな残念な私に、お姉ちゃんは薄笑いを浮かべて問い掛ける。

「海、大丈夫?」

大丈夫じゃないよ!見てわからないの?
直撃だよ。

そう言っても良かったが、『そもそもなんで自分はこんな痛い想いをしているのだろう?』と疑問に感じたから、私は違う言葉を呟く。

「というかなんで私、妹にたこ焼き器で殴られているの?」

お姉ちゃんは苦笑い。

「あはは・・・・。凪も元気出せって言ってるんじゃないの?『活』を入れたみたいに」

活、か。
ちょっと納得したかも。

確かに私、元気ないし。

でもそれはそれだ。
その前にどうしても許せないことがある。

「なるほど・・・・。って凪!」

「ん?」

「ん?じゃなくて何か言うことあるでしょ!」

呆れた妹だ。
お姉ちゃんである私より、たこ焼き機が壊れていないか心配しちゃってさ。

しかも『舐め腐った二文字』の言葉を返してくるし・・・・。

「ない」

・・・・。

決めた。
凪には一度、『海お姉ちゃんには逆らえない』と言うことを教えないと。

妹に舐められる私は絶対に嫌だ。

嫌だから私はすぐに凪を捕まえて、凪の大嫌いなくすぐり攻撃を仕掛ける。

「こら凪!アンタねぇ!」

私は捕まえた凪の脇腹だけをくすぐりで攻め続ける。
嬉しいことに凪には効果抜群だ。

「きゃはは!くすぐったいよ!」

「くすぐったくしてるの!『海お姉ちゃんを舐めたらこうなる』って教えているの!分かった?」

「うー。そんなこと言われても・・・・」

そんなこと言われても?
コイツ、今後も私のことを舐め続ける気だったのかな?

まあ別にそれでもいいんだけど。
と言うかそっちがその気なら、私は絶対に許さない。

許さないからこそ、私は更に凪の脇腹を攻めた。
同時に凪の笑い声も大きくなる。

「きゃははは!」

私も笑う。

「さあ、もっとくすぐてあげようか凪ちゃん?謝ったり、何か私に言うことがあるんじゃないの?」

「言うこと?そうだね・・・・うーん」

またぶざけた解答なら、私はすぐにても凪への攻撃を強めるつもりだった。
すぐにくすぐる準備は出来ている。

と言うか、謝られても許さないで、またくすぐろうかと思ったけど・・・・・。

・・・・・・。