「凪ちゃん、お姉ちゃんの携帯取ってくれる?」

「はーい!」

凪から携帯電話を受け取ったお姉ちゃんは、すぐに耳に携帯電話を当てた。

そして誰かと話し始める。

「あっ、お疲れさまです店長。突然ですいませんが今日の出勤一時間遅らせてもいいですか?あー、はい。そんな感じです。はい」

そう言えばお姉ちゃん、最近夜は知り合いのバーを手伝っているんだっけ。
我が家の晩御飯が早い理由は、お姉ちゃんが夜の仕事のためでもあるし。

と言うか朝早くからパティシエの仕事に、夜遅くまでバーで働くって、何だかスゴい。

お姉ちゃん、予定ぎっしり埋まっていて人生楽しいのかな?
好きなこととかないんだろうか?

好きな男の人もいないのだろうか?

・・・・・・。

って、全部私達のための行動だもんね。
私の家に親は居ないからって理由でいつも無茶する直美お姉ちゃんだし。

ホント、私は迷惑かけてばっかり・・・・。

「ご迷惑かけますがよろしくお願いします。失礼します。・・・・さてと」

携帯電話を食卓に置いたお姉ちゃんは小さな息を吐くと、何故だか私の顔を伺うと小さく微笑んだ。

そして私を笑顔にさせるだけの嬉しい提案をしてくれる。

・・・・・。