昨日の夜、空ちゃんはトイレに行くと嘘をついて、自殺するために廃ビルに向かった。

元から空ちゃんの『死ぬ意思』は強かったのか、廃ビルの屋上に着いたら空ちゃんはすぐに飛び降りたみたい。

私達に何一つ相談することなく、空ちゃんは自殺を試みた。

けど・・・・・。

・・・・・・・。

突然現れた女性に空ちゃんは救われた。
金髪に近い茶髪の、綺麗な人。

空ちゃんの事をよく知る人物。

その彼女の名前は・・・・・、なんだっけ?
確かネットで踊っている人だったような。

この前ゲームセンターで踊っていた人だったような・・・・。

・・・・・思い出せない。

その彼女は空ちゃんを救おうとして手を差し出した。
結果、何とか空ちゃんの自殺を止めることが出来たけど・・・・・。

・・・・・・。

彼女も人間だ。

重力には勝てずに、ただただ体力だけが奪われていく。
下手したら、彼女も落ちてしまう状況。

だけど彼女は必死に空ちゃんの手を引っ張ると同時に、何度も何度もビルの屋上から叫んでいた。

ビルの下にいる人達に助けを求めていた。
『助けてください』って、何度も叫んでいたらしい。

廃ビルの周囲は誰もいない暗闇の地だと言うのに・・・・。

でも偶々その下を歩いている人がいた。
偶々北條燐が歩いていた。

なんでここに北條がいるのかは知らない。

そして彼女の『助けて』の声を聞いた北條燐は、すぐに花火を見る私達の元へやって来た。
花火を見ている最中に北條燐が私達の前に現れた。

目の下を真っ赤に染めて涙を見せる北條・・・・。
どうやって私達を見つけたのかは知らない。

そしてただただ泣きながら、『早く来て欲しい。あたしのせいで空が危ない』って私達に訴えていたっけ・・・・・。

その瞬間、私の中では真っ黒な渦が竜巻のように吹き荒れた。
まるで台風が来たかのように、不安な気持ちに包まれる私・・・・。

私達はすぐに空ちゃんの元へ向かった。
廃ビルの階段を全力で駆け上がり、何とか必死に空ちゃんの腕を引っ張る彼女と交代することが出来たけど・・・・。

・・・・・・・。

空ちゃんは私達の存在を拒んだ。
捨てられずにずっと握っていたたこ焼きの爪楊枝で、自分の手を支える私と孝太くんの手を刺した。

当然、私と孝太くんは想像していない突然の痛みに驚き、誤って空ちゃんの手を離してしまう。

絶対に離しちゃいけないのに、空ちゃんは落ちてしまう・・・。

その時の私の心はもう完全に真っ黒・・・・。

そして空ちゃんはすぐに病院に運ばれて一命は取り止めたみたいだけど、落ちた衝撃で眠りについてしまった。

今もなお、空ちゃんは病院のベットの上で眠っている。
生死を争い、今を戦っている・・・・・。

・・・・・。

また空ちゃんと会える日は来るのだろうか?

会えなかったら、どうしよう・・・・・。

私も空ちゃんを追いかけようかな・・・・・・。

本当にやだよ・・・・・。