「ごめん、川下。あたし・・・・」

私の名前を呼ぶ女の子は、私と何度も喧嘩を繰り返した北條燐だった。
先に帰ったと思ったのに、何故だか暗い顔で私の名前を呼んでいる。

そんな北條に目を合わせることなく、私は自分の靴に履き替える。

そして私は北條が謝る理由を考えるも、コイツは何に対して誤っているのかわかないから、私は思った言葉を返す。

「別に。と言うより私より空ちゃんに謝ってよね。それにアンタ達が空ちゃんに何をしたのか、ホントに分かってるの?」

私の言葉に北條は何も言い返さなかった。
北條も私同様に、視線は別の所にある。

そんな北條に代わって、小坂の声が聞こえてくる。

「まあまあ。今日の燐はうみちゃんに何も攻撃しなかったんだし。『やっと反省した』って捉えてもらえないかな?」

・・・・。

まあ、確かにそうだね。

空ちゃんの代わりに私がいじめられるようになってからもう一ヶ月近く経つけど、未だに私は北條から嫌がらせを受けていた。

空ちゃんが不登校になってからもずっとね。
本当に北條は『暇な奴』だといっつも私は思っていたよ。

でも今日は違った。
空ちゃんの自殺未遂が北條の心を傷付けたのか、今日一日北條は落ち込んでばっか。

私をいじめる余裕も残っていないみたいだけど・・・・。

・・・・・・。

ってか、北條は何に対して謝っていたんだろう。
『いじめをやめたから自分を許して欲しい』とか正直言って意味わかんないし。

ってか、なんで小坂が答えているの?
静かにして。

「小坂に言ってない。ちょっと黙って」

小坂は苦笑いを見せる。

「えー、なんでさ。燐ちゃんの心を代弁しているだけなのに」

「だからそう言うのいいって」

「って言われてもな。ねぇ、こーたくん」

突然名前を呼ばれた孝太くんは、小坂に耳を傾ける。

「あ?」

「そらちゃんとりんちゃんって、なんか似てると思わない?」

小坂、本当にさっきから何を言っているんだろう?

「は?何言ってるの?」

そう言って孝太くんの代わりに問い掛ける私。

だけど『うるさい』と言うように小坂に睨まれる。

「海には言ってない。ちょっと黙って」

先程の私が使った言葉をそのまま使われて、私は無性に腹が立った。
このまま小坂をぶん殴ってやろうかと一瞬思ったけど・・・・。

突然小坂は語り出す。