ビルの屋上からぶら下がる私と、その私を支えてくれる彼女。
あれからも何度も何度も『助けてください』って彼女は叫んで呼び掛けているけど、誰一人と私を助けようとはしてくれない。

彼女の声に誰一人と足を止めようととしない。

・・・・・。

まあ私が言うのも変だけど、人間なんてそんな生き物だよね。
自分さえ生きていたら、『他人なんてどうでもいい』と思ってしまう生き物だし。

結局、自分が一番可愛いんだし。
目の前で知らない誰かが自殺しようとして、その人を助けても自分には何にもメリットが無いんだし。

目の前の知らない奴が死んでも、自分には関係ないんだし・・・。

・・・・・・。

「やばい・・・・手が・・・・」

彼女も限界が近いのか、私を支える手の力はどんどん弱まって行った。
彼女の手からずるずると滑り落ちていく私の手。

死がどんどん近づいていく私。

そして、それを見ても何も感じない私。

・・・・・・・・。

でも、またしても私の邪魔をする人達がいる。

私の『仲間』と言う名の『敵』がいる。

「この大馬鹿野郎!何やっているんだよ!」

「空ちゃん頑張って!」

その何度も聞き覚えのある声に、私は嫌気が射した。
それは何度も何度も私を支えてくれる、孝太くんと海ちゃんの声。

そしていつの間にか私が落ちないように、彼女の代わりに私を支えてくれる二人の手。

私を救おうとしてれる大きな孝太くんの手と小さな海ちゃんの手。

・・・・・・。

本当に、いつもいつも邪魔をしてくる二人だ。
私は『死ぬ』って決めたんだから、いい加減にして欲しいかも。

私には『明日』は必要ないんだし・・・・・・。

ってかもう私、生きていくのは辛いんだよ。

友達ならそれくらい分かって欲しいな。

・・・・・。

と言うか、分からないなら嫌でもその手を離してやろうかな。

私も『死にたい』なら、それをもっと相手に伝えないといけないし。

何事も伝えないと相手には伝わないし。

・・・・・。

だから最後くらいはちゃんと伝えたい。

本気で二人に訴えたい。