私は目を開けると、飛び降りようとする私の片手を引っ張る女の人がいた。
何故だか死んだはずのお母さんにそっくりな若い女性。

まるで私と血の繋がったお姉ちゃんみたい。

と言うか、私にも少し似ているかも。

そんな彼女は必死に私の体を支えてくれて、落ちないように腕を握ってくれる。

同時にビルの下にいる人達に大きな声で助けを求めている。

「だ、誰か助けてください！お願いです！助けてください！」

助けてください。

花火の弾ける音と共に、彼女の声が何度も何度も響き渡った。
自殺をしようとする私を止めようとするお母さんにそっくりな彼女の声。

一方の私はまるで他人事のように感じたから少し真下を見てみた。
高い屋上から眺めた景色と変わらない景色が真下にある。

高所恐怖症の私にはかなり辛いはずの景色。

・・・・・・。

でもやっぱり、既に『絶望に染まった私』には何も思わなかった。
高い所が苦手なはずなのに、特に何も感じない私。

さっきは真奈美さんに『死』を突きつけられて現実に帰ってきたけど、今は『死にたい気持ち』が強い。
『やっぱりあの時に真奈美さんに殺されていた方が良かったかも』って思う自分もいる。

だから、目の前の『死』と言う現実を突きつけられても、何も思わない今の私。

・・・・・。

と言うか邪魔しないでほしいな。

それにこの人、誰なんだろう。

なんでお母さんにそっくりなんだろう。

「頑張って、『空』。お願いだから頑張って！」

あとなんで私の名前を知っているだろう？

何より私、この人のこと知らないし。

・・・・・・。

でもやっぱり知っているような・・・・。
えっと、お母さんのお葬式で泣いていた人のような・・・・・。

まあ、今の私にはどうでもいいか。
何より今は関係ないし。

早くその手を放して欲しいし。