午後六時を回った頃にはさらに多くの人が会場に現れた。
祭りも一段と賑わう。

そんな中、私達は沢山の屋台を巡って楽しんでいた。
美味しいものを色々食べて、お腹もいっぱい。

そしてお腹がいっぱいだから、 私にも笑う力が甦った。
お父さんが言った、『美味しいご飯を食べたら笑顔になる』って言葉を思い出しながら、屋台の料理を色々と食べていく私。

最近は全然ご飯を食べれなかったし、お腹いっぱい食べれなかったし。
何だかこう言うの久し振りかも。

そんな中でも海ちゃんはまだ食べるみたいだ。
たこ焼き屋さんを見つけると、真っ先に向かう海ちゃん。

「あっ、私たこ焼き買いたい！」

呆れた声で孝太くんは言葉を返す。

「さっき食っただろ？」

「いいじゃないの！また食べたいんだからさ」

「ったく」

孝太くんはため息を一つ吐くと、たこ焼き屋に向かう海ちゃんの後を追った。
その姿に、海ちゃんも嬉しそう。
「もしかして孝太くん、奢ってくれるの！？」

「ついてくだけ。人多いだろ」

「ちっ。孝太くんのケチ」

気に入らない孝太くんの足を蹴る理不尽な海ちゃん。
でも孝太くんには全然効いてない。

そんな仲のいい二人に、真奈美さんは提案する。

「あっ、じゃあ色々買ってきて！私と空ちゃんで花火の陣地取るから」

花火。

そう言えば今から花火大会が始まるんだっけ。
毎年秋の終わりに打ち上げられる秋の花火は寒いけど、夏祭りより綺麗だと評判がある。

「はーい！なんでも良いですか？」

真奈美さんは笑顔で答える。

「海ちゃんと孝太くんのセンスに任せる！」

「任せてください！」

元気に返事を返す海ちゃんと一緒に歩く孝太くんの背中を見送った私と真奈美さんは、再び人混みの中を歩き出した。
向かうのは花火を見るために用意された、大きな広場だ。